坂木司祭り第4弾! 「夜の光」 坂木司

まだ読んでます、坂木司。なぜか代表作の「ひきこもり探偵」には
そそられないのですが、単品モノは今のところ、なかなか好みなので
楽しい~。ひととおり私が読み終わるころに新刊出ればいいなあ。

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「夜の光」 坂木司
拘束時間がゆるくて楽そうだから、という
理由で天文部に集まった4人の高校生。
顧問もなあなあの事なかれ主義の先生で
熱血な部活動とはほぼ遠い活動内容…
それに不満を持つものは誰もいない。
地味な女の子のふりをしているジョー、
ギャルのふりで武装しているギィ、


わざとお調子者ぶっているゲージ、落ち着いた大人のふりをするブッチ。
この男女4人組の(章ごとに語り手が変わる)卒業までの日々。

と紹介してしまうと、なんとも甘酸っぱいストーリーをイメージされて
しまいそうですが、彼らの青春は、苦め。

部活動に対して全然熱心じゃない彼ら。ただ、皆で夜中に観測を行うときの
夜食の美味しそうな感じがたまりません。でも、ジョーが料理上手なのは
「女の子は早く嫁に行け」という親に強いられたからだし、ギィがおいしい
コーヒーを入れられるようになったのは、早く自活したいから、という
切実な理由からなのが読んでるとわかってきて、なんとも切ない。

派手ないじめだのクスリだの、そういう「問題」は無いけれど、普通の
高校生で居続けるのは案外大変な4人の内面が丁寧に描かれる。

更に、お互いに強い信頼感を覚えつつも、べたべたした関係ではなく
あくまでも自分の大切な存在、として相手を尊重し続ける大人っぽい
彼らの関係が、青春物特有の暑苦しさがないぶんだけ、とても
素敵に思える。大声でわめいたり誰かを殴ったりというテンションではないのが
よい。

で、これ、一応、各章に謎も配置してある。
夜中に光る蛍??の謎、とか、学祭で売ってもらえないお財布の謎、とか、
ピザの宅配に隠された秘密、とか、身近な謎を、部員同士が雑談して
コーヒーなんか飲みながら話してるその普通っぽい感じがいい。
そして、その「普通でいること」が、この天文部の中でだけ許されている彼らが
いとおしくてたまらなくなるのである。

熱くない、切なくない、だけど忘れられない青春小説の佳作です。

定価1680円→実感価格1470円(87.5%)!
ハードカバーで読んでも悔いなし。ただ、装丁がちょっと地味なんだよなあ。
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by tohko_h | 2010-05-10 13:01 | reading