3月16日(水)

花粉が酷い日。
原発事故で「今、そこにある危機」という雰囲気になってきてるのかも
しれない東京だけど、近い未来の不安より、目先の花粉がつらい。
目と鼻がかゆくて、頭は痛い。実は地震のあった次の日から、バファリンが
手放せないし、酷い便秘もしている(トイレットペーパー不足とは多分
関係ないかと)。もともと大して丈夫でコンディションがいい体ってわけじゃ
ないけど、それよりもポンコツの体に買い換えて使いこなせてない感じ、と
いうのかな。頭と体が、漠然とした無気力な感じに支配されそうなのを押しとどめ
「やる気のある会社員」という水準に保ってる感じ。

印刷所の営業さんが、校正紙を届けてくださるときにいちいち「紙不足なので
校正紙はちょっと似た系統だけど薄めの紙で刷ってますのですみません」とか
説明してくださる。特にカラー印刷なんかだと、実際の紙に刷ってもらうのが
ほとんどなんだけど、そんな場合じゃないのである。試し刷り的存在の
校正紙すら確実に供給できなくなるくらいきわどいケースもあるらしい。
今までは本を出すときって「締め切りに間に合うのか?」に翻弄され、
それをコントロールするのが主な仕事だったんだけど、それにくわえて
当分は「紙はあるのか」も意識する感じになりそうです。

帰り、久々に書店に寄る。
池袋のジュンク堂。今年の2月から、23時閉店、という、このへんでは最も
営業時間が長い書店になったこちら、時短でも21時まであいているので
ありがたい。地震で本とか娯楽から人の気持ちが離れていて、きっと書店、
空いてるね、本も売れなくなるかもしれない、と話を会社でしてる人もいたけど
20時40分…閉店間際のジュンク堂は、普段より混んでいた。それを見て
ほっとした。私は、装丁のきれいな料理本や、好きな「澪つくし料理帖」シリーズ
の新刊を買って…ラーメン屋で味噌ラーメンを食べて一息ついて帰宅。

帰宅してそのまま台所へ。味噌汁(豆腐がなかったので厚揚げと冥加で)を
つくりご飯を炊いた。人のためにご飯を作る、とここまで意識的になったのは
12年も結婚してる女が言うにはひどすぎるが、初めてだったかもしれない。

…普段、私の体調が少々悪くても「さっさと会社言ってお稼ぎなさい」という
タイプの夫が、出勤前に「原発心配だし、会社しばらく休んで俺の
実家にでも逃げてみるか?」といきなり言い出したのもショックだった。
何がショックかと言うと、普段、あんまり何事にも動じず、とくに私の
ことに関しては放置気味な彼が、そんなことをうっかり言っちゃうほど
疲れてるということが分かって。彼は、原価計算とか紙の手配とか
本作りにトータルで携わる仕事をしてるので(もちろん構成とか中身の
仕事もしてるけど)、私の数倍疲弊してるんだろうなって気がしてたけど
私に避難を勧めるなんて…普段の彼だと、逆に、私が「原発怖い」とか
言い出したら、理屈っぽくシーベルトがどうした、と丁寧に説明して
くれて「怖がってなんかいいことあるの?」とか冷たく言うタイプなのに。

淡々と倒れた本棚や箪笥を直した疲れが、今、きたみたい。

帰ってきた夫は「当分はカクジツ配本になるらしいよ」と言う。
「かくじつはいほん?」確実配本、という文字が先に浮かぶ。発売日に
確実に書店に本が届く…なら問題がないよね。と一瞬混乱したが、
ちょっと考えて「隔日配本」だと気づいた。
日本出版取次協会が、取次(問屋)から書店、コンビニへの配本
(書籍の配送)を3/16から3/19までの間は、2日に一度の隔日配達と
する、と決めたらしい。燃料不足、救援物資の確実な運送を優先したい
ということらしい。そういえば今日って水曜日だけどテレビ雑誌とか
ananがコンビニにも無かった。既に「毎日決まった日に店頭に本が
並んでいない」状態にはなってる。

…確実に本が発売日に出る、というのが当然のように仕事をしていた。
だからこそ「発売日に間に合わせるためにはここまでになんとか」と
作家さんに原稿の執筆を急いでもらったり、ギリギリの日程で
デザイナーさんにレイアウト組んでもらったりして間に合わせてきた
わけで。それがなくなると、今までみたいに残り時間カウントダウン!
みたいな仕事の仕方でいいんだろうか、と、ちょっと不安というか、
申し訳ないような気がしてきた。

とにかく折り返し地点!と、週の真ん中まで乗り切ったことで自分を
励まして、眠った。
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by tohko_h | 2011-03-21 02:21 | drops of my days