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「チャコズガーデン」明野照葉

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「チャコズガーデン」明野照葉
日本一住みたい街と言われる吉祥寺。
その中でも閑静な住宅エリアの中に
建っているマンション・チャコズガーデン。
青年実業家と呼ばれる男と結婚したが
離婚した渚は、ここでひとり無気力に
暮らしている。「ほかに好きな人が
出来た」と去った夫が忘れられないのだ。
ある日、そのマンションに美しい主婦と
活発な美少年の母子が引っ越してくる。
その日を境に、ひたすら静かだったチャコズガーデンの住人たちの
暮らしぶりが、不安定に揺らぎ始める…

うすぐらいサスペンスを書き続ける明野照葉作品。マンションを舞台に
いろいろな人たちが張り合ったりどろどろするんだろうなーと
いやなもの見たさで手にとってみました。

けれど、不本意な離婚に傷つくヒロイン・渚を始め、それぞれの心の
痛みや苦しみを丁寧に描き、トラブルにしても、ただ不気味で怖い
というものではない。

お互い、独立して暮らしていけるところがマンションのメリット、と
思っていたチャコズガーデンの住人たちが、次第にぎこちないながらも
人間同士の付き合いを始めたりする過程が興味深かった。

変な話、この前の震災のときに、某芸人が「東北は近所の人同士が仲が
良いので避難所でもその延長で協力しあって生活がなんとかできている。
これが、近所づきあいのない東京で起きていたら、と思うと恐ろしい」と
言っていたけれど、東京でも、隣の人のこととか普段知らなかったとしても
いざとなったら、それなりの協力的なムードや助け合い、支え合いは
成立すると私は思ったんですよね。

そんなことを、この小説の住人たちの姿を追っていて思い出しました。
by tohko_h | 2011-05-10 23:58 | reading