「青い壺」有吉佐和子

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「青い壺」 有吉佐和子
青いツボ、と聞いて、北島マヤの一人芝居!と思って
しまったあなたは、ガラスの仮面ファンですね(私もだ)?
この小説は、あの漫画に出てくるお芝居とは関係ないです。
でも、たったひとつの青い壺をめぐる話だけで読み応えのある
人間ドラマが連続して描かれる濃厚さは読む価値アリです!
ある陶芸家が美しく焼けた青い壺が、人の手から人の手に、時には贈答品として、
時には売買され、日本中、そしてついには海外にまでわたっていきます。
ある時は、嫁姑問題でドロドロしたおうちに、ある夜は戦中派と戦後派が酔って
喧嘩してしまう居酒屋に、またある時はストイックな修道女の手に。老若男女、
様々な、壺を手にした人の物語が、紙芝居のように展開されていきます。
それもタッチが違う紙芝居。漫画や絵本で1枚ずつ、1コマずつタッチが変わったら
たまったものじゃないですが、この小説の場合、図々しい中年女性から若く潔癖な
娘、芸術家肌の陶芸家に、戦後を生きる医師などなど、さまざまな貌の人たちが
出てくるので、そのメリハリっぷりが清々しいのです。
1本1本が独立した短編として完成してスッと立って成立してるんだけど、青い壺を
リレーのバトンのように回していくことによって1つの流れになっているという。
個人的に印象に残ったのは、女学校時代の同級生たちが還暦を過ぎて泊りがけで
同窓会旅行をする話。仕切り屋、仕切り屋が気に入らなくて影で不満を漏らす人、
仕切り屋に反旗を翻して単独行動に出るもの、などなど、女性の多人数の集団行動って
大人になっても、いや、大人になればなるほど面倒なんじゃないの?みたいな感じ。
母校の栄養士になった女性が、子供たちに給食で苦手な野菜を食べさせるために
頑張るんだけど調子に乗っちゃって…みたいな話も、すごく共感しました。

というわけで、短篇集を読んでるつもりでも、壺を追いかける長編小説として読んでも
どっちにしろ、お腹いっぱい!な読み応えの1冊です。こういうのドラマにならないかなー。
1話ごとに役者さん変わるから、拘束時間も短くて済むし、端役タイプの人がすごく
美味しい場面があったり、面白いと思うんだよね。

今まで、物書きの佐和子さんというと私の書棚には阿川佐和子さんしかなかったけど、
有吉文学もかなり面白いです。今度は何を読もうかなー。
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by tohko_h | 2012-05-16 08:46 | reading