「どうして君は友だちがいないのか」 橋下徹

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「どうして君は友だちがいないのか」 
橋下徹
河出書房新社が「14歳の世渡り術」と
いうシリーズの1冊として出した
橋下弁護士の最新刊。
先生のサイトには、
7月30日には買えます、と書いて
ありますが、もう大きな書店には
大体置いてあります(少なくとも
東京都内だと)。

この「14歳の世渡り」シリーズ、
井筒監督の民族問題本、鏡リュウジさんの占い啓発本、
雨宮処凛さんの右翼と左翼の本、と、かなり極端なテーマと
著者の並びだなーという印象を受ける。その前3冊と比べると、
橋下弁護士が人間関係(14歳にとってもっとも問題になりえる
人間関係=友人関係なのは普通に学校行ってれば間違いないかと)に
ついて書いた本、というのは、王道というかオーソドックスな気がするが
この本単発で読むと、道徳の教科書的な友情観の真逆を行くような
斬新で過激で、でも多分正しい意見や真実満載の1冊だった。

学生時代の「学校に行ったら皆と仲良くしなくてはいけない」とか
「人気者までいかなくてもそこそこ好かれて人に囲まれて無いと
なんかかっこ悪く見える、なんとかどこかに居場所を確保しないと」という
苦悩の何割かは、全ての学校生活の始まりのテーマソングみたいに
歌われるあの歌の能天気フレーズ♪友達100人できるかな にも
多少責任があるような気がする。
100人、というのは、もちろん「白髪三千丈」とか、「ウソついたらハリ1000本
飲ます」的な、とりあえず出しとくキリのいい大きな数字、に過ぎないとしても、
100人とまで行かなくても、明るくて友達が多い、皆と仲のいい子が
正しい子供なんだ!みたいな観点の歌詞で、学校が望んでる理想的な
子供像のひとつの典型なのは間違いない。

だから、友達ができない、とか、友達がいない、とか、友達がいたけど
自分だけ浮いたor嫌われたor苛められた、というと、相手との関係が
よろしくない状態になった、という意味で傷つくと同時に「学校から見て
イマイチな生徒なんだな、自分」という落ち込みもセットでついてくるので
もしかしたら「成績が伸びない」というより、目先の悩みとしては
切羽詰まることが多くなるのももっともだと思う。

そういう「学校で人間関係がまともじゃない状態の自分はダメだ!」と
落ち込む前に、この本に出会って欲しいと、14歳から20年も経って
しまった私は心から思った。
この本では、テレビでよく顔を見る、いかにも学生時代から面白いことを
言っててスポーツマンで楽しく人気者くん人生を送ってきたかのような
イメージの橋下弁護士が、意外な学生時代の自分の人間関係苦労話を
ストレートに書いていることにまずびっくりさせられる。さらに、
実際に現役の14歳(を含む学校に行ってる年代の子供たち)が読んだら
「ちょっと冷たい」と思うかもしれないけど、いつかは割り切るべき
「しょせん友達は友達であって、それ以上でも以下でもない」という
当たり前だけど、“友達100人”とか“みんななかま(って昔はあったんだよ
NHKの道徳番組で)”みたいな呪縛中にはなかなか見えない真実。

さらに、「友達がたくさんいて人気者になれなくても、別に学校に普通に
通ってうまく人間関係をクリアする方法はある」と本の内容はだんだん
実戦(?)的になっていく。ドラえもんでいうと、ジャイアンにへつらっている
スネ夫的なやりかたもありなんだ、とか。実際に、不良の先輩の沢山いる
ラグビー部に入って、怖い人たちの傘下におさまって他からの攻撃は
避けることができた、と、橋下弁護士は中学での部活動の話を書いている。
そして、自分が苛めに加担するときは、自分の楽しみとか相手を嫌ってる
からではなく「自分は保身のためにそういう道を選んだ」ということを
しっかり意識するように、とも書いてあった。こういう、本当にギリギリの
ところで(苛めに加わる(フリでも)か、自分がやられるか、とか、
全ての不良にしごかれるより部活の怖い先輩限定のパシリのほうが
まだましとか、ある意味全て究極の選択状態な例なのですが)
どのような対応策をとるべきかが、合理的に淡々と書いてある。

あまりにもスパスパ割り切っていて、2者択一もサクサクしてるので
一見過激な本、極端な意見、と思う人もいるかもしれないけれど、
たかだか友達関係で死んだり追い詰められることはないんだ、
それなら別のその場をやり過ごす方法はあるんだ、という意味では
きわめて実戦的な本書である。少なくとも、友達がいなくて学校の
居心地がイマイチでも「まあ、今はそういう時期なんだなー」と
割り切るときの助けにはなるだろう。実際に、転校先で橋下弁護士が
苛められそうになったり激しいケンカに巻き込まれそうになったり、と
色々な人間関係の複雑さをかいくぐって、その結果、今の、人間同士の
トラブルを扱う仕事を選んだ、と思うとそれも感慨深いものがある。

橋下弁護士のファンにとっては、小学校、中学校時代のエピソード満載
なので、エッセイみたいに読むのもアリ、だと思う。私自身、
その地域でもっとも荒れていた公立中学→進学校とされていた公立高校、
という、橋下弁護士とちょっと似た経歴を歩んでいるので「高校に入れば
すっごく楽になった」というのも感覚的に読んでいて頷けた。しかし
男子と女子だとだいぶ違うんだろうなぁ、とも思う。

友達はいれば楽しいけど、いなくても学校くらいなんとか行けるし、と
ひらきなおらなくてはちょっと辛いときに強がるための力になる1冊。
友人関係の具体的なたとえとして「ドラえもん」が多用されてるのは
なんだかとっても同世代な感じで嬉しかったり(笑)。
そういえば、橋下先生、他の番組で自分のお子さんたちには「こち亀」を
人間関係のためになる、とか言って読ませてるともおっしゃってました。
もしかして、マンガ、お好きとか・・・?

年配者&知的職業に従事している人の中には、マンガ=くだらないもの、と
偏見を持っている人が多いものですが(ウチの親みたいに還暦過ぎても
「NANA」の続き気にしてるほうが珍しいとは私も思うけど(笑))、
橋下先生はそうではなかった、と判ったのも、嬉しかったりもしました。

誰か「漫画・橋下徹物語」とかどこかの雑誌で連載すればいいのに
(スパモニ!で共演中の江川先生でも…でも、子づくり漫画になりそうな(笑))。
この本に出てくる橋下弁護士の青春って、ケンカ・不良の先輩、
ラグビー、と、思いきり硬派で、本宮ひろ志先生テイストだったりもするし。

※萌えを封印して、レビューっぽくカッチリと書いてみたつもりなのに
やはり読むとファンまるだしなのでなんだかなーな一文に。しかも
更新深夜だわねーっていうこのテンションも恥ずかしい(笑)。

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by tohko_h | 2007-07-29 02:38 | HashimotoGovernment