悪気が無い、という言葉の暴力。

某有名大御所漫画家が新たに建てようとしている家の外壁が
赤と白のしましま模様に塗られているのを見咎めた近所の人の一部が
「止めてくれ!」と騒いでいる、というニュースがここ数日報じられている。

街中でボーダーのシャツを着たその人を見かけたことは
4~5回あるし、それは、学生からおしゃれなマダムまで
いろいろな人がたくさん歩いているその街に溶け込んでいて
この街の有名人、という感じでいいな~と思った記憶がある。
ソープランドもおしゃれなカフェもなんでもあり、という感じの
街なんだし、おしゃれなイメージがあっても、中央線らしさも
あっていいなー、という良い意味で雑多な街。ちなみにこの街には、
漫画家もたくさん住んでいるし、編集者も住んでいる。
そのうち、漫画の街としての顔も見せるようになるかもしれない…

しかし、一瞬すれ違って「あ、あの漫画家さんだ!」と思うのと、
窓を開けたりそこらを歩くたびに派手派手なおうちが目に入ってくる、
というのはちょっと違う気がする。隣近所の人が「あの人らしい家で楽しみ」と
思っているなら別にいいとは思うけど、実際に不快に思う人がいるとしたら、
ちょっと当人同士の話し合いが必要かもしれない。抗議してる人の
「心が赤と白に塗りつぶされたみたい」みたいなヒステリックな
ポエムみたいな抗議の言葉はどうかと思うけど、抗議の内容は、
まあ、気持ちはわかる。

確かに、その土地を買った漫画家がどんな家を建てようと
自分の土地なんだからいい、という考え方もありだと思うし
法的にも、他人がいちゃもんをつけるのはどうやらお門違い
(一部の景観について取締りが激しい地域ならともかく
普通の住宅街なら)らしいんだけど・・・

「まあ、こんなディズニーランドみたいな家が建つのはイヤだ、って
人もそりゃいるだろうね」と私が言うと、夫は「あの作家の実績とか
無視して、いやだ、って斬って捨てるみたいな言い方ができるのは
文化的な成熟が云々かんぬん」と言った。確かに、その漫画家の
作品のいくつかは名作と呼ばれているのも知ってる。でも、私に
したら、普通の「怖い漫画」だ。みたいに言い返してるうちに
軽く夫婦喧嘩までしちゃいましたよ・・・(苦笑)。結局は、
その作家に対する評価の度合いで、この事件に対する捕らえ方は
違う、ということがよーく判りました(家庭内だけでもまっぷたつ
でしたから!)。

その件でインタビューを受けていた当の漫画家がこう言っていた。

「ボクにとって赤と白は元気が出る色なんです。

悪気があってそういう色にしたんじゃない

…作家の言葉の是非はさておき、私はこの「悪気があって○○したんじゃない」
とか「悪気は無かった」といういい訳、というか釈明があまり好きじゃない。
抗議してた近隣の人が騒ぐほど赤白に塗られた壁は「色彩の暴力」とは
思わないが、この言い方は言葉の暴力だと思った。しかも自分でその色って
決めたなら、それに対する賛否両論を受け止めるくらいの責任はあるんじゃ
ないかな。

何か叱られたり抗議されたり責められたときに「悪気は無い」という。
これって、相手に対して「こちらに悪気なんてないのに、
そっちが勝手に悪い風に取ったんでしょ。それ誤解だからさ」と、
相手の怒りや抗議の正当性を頭から否定しているみたいで
失礼だと思う。とりあえず、自分の何が相手に悪く思われてるのか
耳を傾ける姿勢を見せろよーと思う。逆にいえば、聞くだけ聞いて
それでも相手が誤解してる、と思ったら、誤解するような言い方をした
自分が先に反省して「自分の言い方が悪かったけど、それはね」と
誠実に話をすればいいのだと思う。

私も友達の言葉に傷ついて「悪気があって言ったんじゃないのよ!
友達だから軽く冗談で言っただけだよ!!」みたいに言い逃れを
されたことがあるが、だったら、ぞれで傷ついてる自分が悪いの??と
怒りは数倍に膨らんだ。
「誤解されたかもしれないけど悪気は無い」という前に、自分の
言葉のどこが足りなかったか、行動のどこが悪かったのか、
省みる一呼吸が大事、と思う。大人ならね。

まだまだ地域によっては、一軒家>>>マンション、みたいな
価値観が根強いところもあるようですが(私が分譲マンションに
入居したと聞いて「一軒家が買えなかったの?」と“悪気なく”メールして
きた友達がいた!!)、外観が無難、という点ではマンションもいいかもーと
今回思った。隣の家の外壁が突然真っ赤とかにはならないもんね。
最大公約数的な色でたいていは塗られているものだし。

しかし、新築分譲マンションの場合、隣の部屋にどんな家族が
入ってくるかあたりはずれがあるので、そのへんはハイリスク。
我が家の隣は、夫婦喧嘩が激しくて、夏の夜に窓を開けて涼もうと
すると、物を投げる音と「てめえ!」みたいな古い不良漫画みたいな
激しい罵倒の文句(しかも女性の声で)が聞こえる、という、ちょっと
トホホ、なかんじです(←廊下やエレベーターでにっこりされると
それも怖い)。
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by tohko_h | 2007-08-05 10:43 | drops of my days