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「永遠の途中」唯川恵

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「永遠の途中」
唯川恵

またまた唯川恵です。
半身浴のおともに、と
思って読み出したら一気読み。
ぬるい、と思いつつ読みやすくて
次々と手を出してしまうのだ
(藤堂志津子とかも割とそう)。
物語は、ふたりのヒロイン、乃里子と薫の
27歳~60歳までを描いていく
女の大河人生ドラマ風味。

広告代理店に就職して5年目の乃里子と薫は、同じ同僚の
男性に心惹かれ、結婚前提で付き合えたら、と思っていた。
結局、積極的に動いた薫が彼と結婚して寿退社を果たし、
乃里子は役職がつき、キャリアウーマンの道へ…
結婚した薫には姑や不妊問題、管理職になった乃里子は
部下との関係に悩み…という風に、お互いに違う道を選び
相手のことを「自分より幸せそうだったらイヤかも」と気にしあい
それぞれの人生を歩んでいく。
最後に60歳になった2人が、お互いに自分が相手になっても
そういう人生は選べなかったろう、みたいな話をして、
自分の人生は自分だけのものだ、と前向きに語り合うまでの
長い長い道のりは、読み応えアリ。

こういう「キャリアウーマンVS主婦」みたいな小説って、名の
知れた女性作家さんが書くと、作家さん自身もキャリアウーマンの
一種(究極の専門職の!)であり、付き合う編集者も働く女性だったり
することもあるせいか、仕事をしている女性の描写は生き生きとして
いるけど、主婦の描き方が一昔前な感じでちょっと白々しい、みたいな
落差を感じるのですが、この唯川作品については、結婚退職した薫の
悩みや喜び、日々の不安や葛藤もとても丁寧に描かれていて、
仕事一筋の乃里子と同じだけの存在感があった。そういう意味でも
とてもバランスが取れている小説。

人は人、自分は自分。頭で判っていても、ふとしたときに、同級生とか
「もといた場所は一緒」という人とわが身を引き比べる、みたいな
セコイまねをしてしまう部分、私にもあるんですよねー結局。
実は最近、大学の同級生が書評家になっていたことを知って、正直言うと
少なからず動揺しました。あまり親しい人ではなかったのですが、
こうしてブログでシロートっぽく「本についてのさくぶん」レベルのものを
書いているなんて万が一その人に知られたら恥ずかしいなーとか、ちょっと
色々考えちゃいましたよ。我ながらなんだかイヤな性格してるなーと思いつつ。
by tohko_h | 2007-08-10 23:28 | reading