「黒髪」谷村志穂

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「黒髪」
谷村志穂
60歳を過ぎたりえは、
夫と3人の娘、そして
愛らしい孫に恵まれた
平穏な日々を送る女性。
ところが、ある日目にした
1枚の写真と、何通かの
ロシア語の手紙から、
自分のルーツの謎を
たどりたい熱い気持ちが
芽生えて…


函館に旅立ったりえが知ることになる、実の母の数奇な運命。
ロシア人の家にお手伝いさんとして1930年に住み込みで
おつとめをはじめたさわという女性が、やがて、そこの主と
禁断の恋に落ちて、運命は二転三転していく。
ただ、抱きしめてもらいたい一心で彼を追うさわの放浪の旅は
壮絶で命がけ・・・

りえが現代の函館を歩いて自分の出生の秘密を辿りつつ
夫や娘たちとぶつかる現代のパートと、さわが、あらゆる
困難を乗り越え、たったひとつの初恋を守るために命がけで
いきる1930年からのパートが交互に語られる本文。
60歳を過ぎて、ひとりで旅もしたことがなかったりえが必死で
自分はどこから来たのか知りたくて歩く姿がいじらしい。
そして、さわが一途に愛したロシア人である主人への思いと、
その貫き方の激しさには絶句するしかなかった。

女性の一代記、みたいな話が好きな人には割とお薦め。
ただし、相手のロシア人男性が、かなり体格がよろしいらしく、
ラブシーンのたびに「その太い指が触れて…」みたいな描写が
多いので、恋愛小説として酔いしれられるかどうかはちょっと
保証しないでおきます(ヒロインのさわは、黒髪と大きな瞳が
印象的なファムファタル(運命の女)として申し分ない美しい女性
らしいんだけど、その彼女の本命の彼・ドミトリーはダルマ体型
らしいのよ)。ロマンス小説として、もう、白い肌に金髪に
哀しげな青い瞳、みたいな判り易い相手役でもよかったような。
まあ、そういう絵に描いたような美しい男性じゃなかったからこそ、
ラブシーンが生々しかったのですが(そこが好き好きだろうなぁ)。

ただ、私個人としては、母がたの実家の墓が函館にあり、
地名などになじみがあったので、そのへんはプラス。

定価¥1,995 (税込)→自分的プライス¥680(34%)
文庫で700円割ってたら面白いなーって思ったと思うのですが
ハードカバーで読むほどでは正直なかったかな。

さんぽん 散歩するように類書もどうでしょう
同じ谷村作品なら、映画にもなった「海猫」のほうがドラマティックで
よりお薦めです。男性が魅力的だし…
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by tohko_h | 2007-11-28 00:17 | reading