冷たさの条件

今朝の出勤バスを待つバス停に着いたら、
冬の最後の悪あがきみたいな冷たい風が吹いていて、
ワンピースの上にジャケットというコート無しの軽装の
私は少し寒かった。バス停の先客の男性は(50代?
やさしいおとうさん、っていう感じ)スーツにマフラーだけ、
というもっと寒そうなカッコだな、とちらっと見て思ったとき
声をかけられた。
「寒いですね、もう3月なのに」

私は、人見知りというか、知らない人嫌いなタイプ。
道を人に聞かれたり、こういうふっと知らない人に話しかけられると
恐怖と「何でこの人と話をしなくちゃいけないの?」的な苛立ちを
覚える心の狭い人間だ。
しかし、その人が本当に「寒いなー参ったなー」という口調で
感じよく話しかけてくれたので、そんな不快感を意識する間も
なく、答えていた。
「ほんと、風強いですよねー」
「もうあったかくなると思ってコートをクリーニングに出したら
この風だから・・・ほんとうに寒いです」とそのおじさまは笑った。
スーツにマフラーという服装は、チョイ悪流のおしゃれではなく
コートが物理的に着られなくいたしかたなくってことなのね、と
納得しつつ
「もう来週はたぶん着ないですむはずだから、ここがガマンの
しどころですよね」(私もコートじゃなくてジャケットだったので、
仲間意識で(笑))。なんて、だらだらバスが来るまで寒さについて
雑談していた。そのバス停は2系統のバスが停まるところで、
その男性は、私が乗るのと違うバスに乗って行き、私が
ひとり寒空の下に残されたのですが、なんでしょうこの、
ほのぼのとした、あたたかい気持ち。俵万智の短歌
「「寒いね」と話しかけて「寒いね」 と答える人のいるあたたかさ」
なんかをふと思い出しつつ、自分のバスが来るまで、
なんかにやけたくなるような不思議な上機嫌だった。

結局、きっと私が「寒い」と思った瞬間に話しかけられたから
タイミングがすごくよかったんだと思う。
知らない人と雑談してちょっとした幸せな気持ちになれたなんて
本当に滅多に無いことだ。これが同じ年頃でメガネの似合う
タイプの人だったらまた違う展開が・・・(笑)。←いや、
そのおじさまもめがねと茶系のスーツにグリーン系の
マフラーがおしゃれで素敵でした。

で、その次に思い出したのが、ある投稿&相談系掲示板にあった
「東京は怖い」という女性の投書。

新宿で電車に乗るために通るべき改札を間違ってしまって、
「ここじゃないんですか?」と駅員に聞いて冷たく返された。
私の田舎はもっと人が優しかった、みたいな内容。
新宿駅でもたつくほうが悪いっていう意見もあったし、
東京じゃなくてもそういう駅員はいる、たまたま
はずれだったんでしょ、という意見も書き込まれた。
ひどい人は「東京でそっけなくつんつん歩いている人は
地方から東京に出てきた粋がっている田舎ものです。
生まれつきの江戸っ子は優しくておおらかですよ」とか、
地方→東京(私も含む)の人をバカにしたことを書いてました。
その話に出てくる駅員さんは確かにそっけないとは思う。ただ、
そこで「東京は怖い、冷たい人ばかり」と思い込んだ
投稿者はどうだろう、と思った。

発言小町「東京は怖い」より

駅員につめたくされたら、なかなか「この駅員さんが
素っ気無い人なだけだわ」とまで冷静にはなれないと思うけど
せいぜい「くそー、JRめ! 役人体質が抜けてないのね!」とか
「東京メトロってば、宮崎あおいのCMは可愛いけど、
かわいげのない会社ね!」みたいに、その路線を逆恨み
する程度だと思うんです。私も実際、ついさっき、
ある銀行から電話がかかってきて、その人の電話の
口調が威張ってる感じで「うわー○○銀行むかつく。
××銀行のほうがまだいいや、こりゃ」みたいに
思ったんだけど(○○銀行にもいい行員さんはたくさん
いるのは分かっててもその瞬間はね)、そこから
「東京の銀行はろくでもない」とか「東京の人は冷たい」
なんて思わなかったです。

私は実際に東京は冷たいとも、ひとりで街中を歩いていると
周囲が無関心だから寂しいとも思いません。むしろ、
その雑踏を歩いて目的地や我が家に向かう感じ、なんだか
好きです。本当に疲れているときはざわめきがわずらわしいときも
ごくたまにあるけれども。そういう「知らない人がたくさんいて
その中のひとりが自分だわ」みたいな気分も割と好き。
人にぶつかったらあやまるし、電車でからまれたら無視するし、
ナンパされたら聞こえないフリをしてその場を去り…
そうやって、自分流に雑踏の一員として暮らしております。
それを冷たいとか、田舎者が東京で自立ぶって、と言う人が
いるのかもしれないけどねー。

むしろさびしいのは、学校とか職場とか、特定のグループの
一員として自分もその場にいるのに、空気のようになって
誰ともしゃべってなくて間が持たなくなっているとき。例えば
仕事関係のパーティーみたいなのとかで、知ってる人が
いないこともないんだけど話すほどでもないなーとぼんやり
してしまってるときとか、「うーん、さびしいなあ」と周りの
空気を一瞬、冷ややかに感じることは、あったような気がする。

そういう「基本、知らない人とは余計な(余計と思うのが
冷たい人間かもしれないけど)コミュニュケーションは
必要ない」と思っているから、普段の、病院の待合室や
駅での知らない人から話しかけられるのは苦手なんだけど、
今朝はなんだか嬉しかったな。
「寒い!」って言いたかっただけ同士だった、という
シンプルさがよかったのかもしれない。

しかし、そんな私ですが、先日の札幌出張では、タクシーの
運転手さんや市場の人たちに聞かれもしないのに「すごく久しぶりに
来ることができました、昔暮らしてたんです!」とべらべら話しかけまくり。
これが望郷の念ってやつかしら?

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まあ、人情不足らしいけど、私(笑)。
あなたの足りないものは?
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by tohko_h | 2008-03-06 13:03 | drops of my days