芸能モノ2冊「カウントダウンノベルズ」「枕女優」
2008年 05月 25日「カウントダウンノベルズ」
豊島ミホ
日本の音楽シーンをにぎわせる
アーティストたちの喜怒哀楽を
描いたオムニバス短編集。
CD売り上げ連続記録がかかった
歌姫の女性とか、その歌姫に
対抗して露出度の高い衣装を
身につけて激しくダンスする
関西弁の開けっぴろげな女性
アーティストとか、路上ライブで見出されてデビューに至った
女性シンガーとか「あ、これって」とモトネタ探しをしつつ読んでしまった。
企画としては面白いと思うのですが(ちなみにタイトルは「カウントダウン
TV」から取ったそうです)、小説としてはあんまり…というか、音楽が
物語の重要な役割を果たす小説って、凄く成立するのが難しいんだな、と
改めて思った。今回は、たとえば「これは〇崎あゆみのことだな」とか
既成のアーティストと重なるキャラが多かったので、読者に音の
イメージを喚起しやすかったと思うけれど、それでも、読んでいて何か
もどかしいというか、伝わってくるものが足りないような印象を受けた。
「枕女優」
新堂冬樹
顔を変え、男たちに体を与え、
必死で役をもらい、芸能界で
生き残ろうとする弘子。
トップ女優の座のためなら
手段を選ばない彼女が得た
ものと失ったものとは??
「黒い太陽」でホストクラブやキャバクラの裏側を描いた新堂冬樹が
今度は芸能界の暗黒面を衝撃の小説化!
しかし、ヒロインが割り切って、スポンサーと寝まくるわけでもなく
だからといって戸惑って傷つくわけでもなく、キャラ立ちという面で
物足りなかった。ちなみに作者は芸能プロを経営しているとのこと。
てことは、この作者のプロダクションの所属女優さんって…と、
ついつい下世話なことを考えてしまったり。
どうせなら、上昇志向の異常に強い女性、とか、きょくたんな設定で
読んでみたかった。