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「ガール」奥田 英朗

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「ガール」
奥田 英朗
主人公は全員、働く30代の女性。
男性作家が女性を描いた小説って
「こんな女いないよー」みたいな
読んでて困ってしまうものも多い
んだけど、ここに出てくる人たちの
描かれ方に、そういう抵抗感が
まったくないまま読み終えて
しまいました。



ヒロくん
大手不動産会社で働いている35歳の聖子は、 女性としては早い
昇進をとげ、課長になった。同い年の別会社に勤める夫・ヒロくんは
年収や出世において妻のほうが先をいくことは気にならないようだが…
はじめての管理職としてのあれこれに戸惑いつつも 課長としての日々が始まった。

マンション
大手生保会社で働いているゆかりは、34歳独身。 学生時代の友達が
マンションを買ったときいて、 自分も高額な家賃を毎月払うよりは、と、
マンション購入を意識するように。家を買った 同僚などに話を聞いて
準備を進めるが、 一目ぼれした物件はとっても高額で…

ガール
大手広告代理店の由紀子は、32歳。職業柄、 服装も外見もまだまだ若く、
同窓会では 「あなた若くていいわね」とうらやましがられるほうだ。
だけど、会社にいる38歳のお光こと光子先輩ほど若造りに励むのもイタいし、
そろそろ「女の子」じゃなくなるのかな、と、 若い後輩なんかを眺めていると時々
ブルーになったりして… そんなある日、お光と組んで、あるデパートの
イベントを担当することに。 そこにいたのは、学生時代地味グループにいたであろう
メガネの紺のスーツ女子。はっきりいって苦手なタイプ。予想通り打ち合わせは
難航。気晴らしに遊びに行っても、若くない自分をもてあましてしまう由紀子は…

ワーキング・マザー
36歳の孝子は、大手自動車メーカーの社員。 離婚後、シングルマザーとなり
母親業を優先して残業のない部署にいたけれど、 一人息子が小学校に
あがったのをきっかけに 営業に復活。バリバリ働き、社会復帰の喜びに浸りつつも、
週末は完璧な母親として息子と過ごし、充実した日々を送っていた。
しかし、ある仕事で、同い年の独身女性とぶつかりあうことに…子持ちなことを
武器にしたくないけれど、彼女の高そうな洋服や奇麗なメイクが、いかにも
独身の余裕って感じなのもひっかかるし、自分の意見に対してとげとげしい対応を
してくる相手に大人の対応をするのもかなりなストレスで…

ひと回り
老舗文具メーカーの容子は、34歳。新入社員のお世話係を命じられる。
その新入社員は、さわやかな12歳年下の、 とってもイケてる男の子だった。
全社の女性の注目を浴びる彼に仕事を教える快感と、素直な彼の可愛さに、
容子は毎日が楽しくてたまらなくなる。しかし、魅力的な彼を目当てに
若い女子社員達があの手この手で アプローチしてくるのを見ていると、
なんだかイライラがつのり、つい軽くジャマのひとつもしてしまうのだった・・・

まあ、どの主人公も、大きめの会社に勤めており、その余裕ゆえに
いろいろ悩めるのよ!といううがった読み方を、ほんとにつかれているとき
だったらしちゃうかもしれないけど、基本、あるあるある、と、共感ポイント、
たくさんあります。

派手VS地味、子持ちVS独身、ベテランVS若手などなど、違う場所に
普段は所属してきた女同士、あるいは人間同士が、
時には連携プレイをすることもある仕事って、厄介だけど、だからこそ
面白い出会いの場でもあるのかも。と、なんだか会社生活も
味わい深い気がしてくる、サラリーウーマンには特にお勧めの1冊です。
by tohko_h | 2009-01-26 12:26 | reading