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「木もれ陽の街で」 諸田玲子

「木もれ陽の街で」 諸田玲子_a0079948_1975268.jpg「木もれ陽の街で」
諸田玲子
敗戦後、復興に向かい
つつある昭和26年の
東京の中流家庭。
荻窪で家族と暮らし、
丸の内の商社で働く
公子は、退廃的な
魅力をたたえた
画家の男と出会い、
あぶない相手だと
感じて警戒しつつも
惹かれてしまう。


親友はお似合いの人と婚約し、向かいの家では
お妾さんをめぐる恋愛事件が起き、それらに接して、
愛について自らも真剣に考える公子だが…

カバー後ろに「向田邦子をこよなく愛する著者が初めて描く、
ひそやかで、けれどもひたむきな“昭和の恋”」と紹介文が
あるが、まさにそんな感じである。

かつてお正月に久世さんが演出して毎年作られていた
向田ドラマに出てくるような、東京のちょっとよさそうなお家。
お母さんが加藤治子さんで、娘さんが田中裕子さんで、
謎の男の小林薫がからんできて、みたいな単発ドラマ。

しかし、恋愛や接吻(とここではあえて書きたい)が
大事件だった時代のラブストーリーってたまに読むと
新鮮で悪くないな、と思う。ヒロインが恋する「暗い眼をした画家の男」
というのは、なんか、読んでて、太宰の「斜陽」に出てくる
ダメ男のイメージに読んでいるうちにどんどん重なってきたのは
私の感性がそうだったのか、著者も意図したのだろうか。
ちょっと気になるところ。
by tohko_h | 2009-05-11 19:15 | reading