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カテゴリ:reading

  • 「ナナマルサンバツ」杉基イクラ
    [ 2012-05-10 13:21 ]
  • 「雪と珊瑚と」梨木香歩
    [ 2012-05-09 13:00 ]
  • 「マウス」村田沙耶香
    [ 2012-04-25 10:55 ]
  • 「俺物語!!」①巻 原作・河原和音 漫画・アルコ
    [ 2012-04-23 14:51 ]
  • 三浦しをん「舟を編む」が本屋大賞に選ばれた!
    [ 2012-04-17 12:39 ]
  • 「ビューティフルピープル・パーフェクトワールド」
    [ 2012-04-08 16:29 ]
  • 「学問」山田詠美
    [ 2012-04-04 16:05 ]
  • 「ナミヤ雑貨店の奇蹟」東野圭吾
    [ 2012-03-29 17:27 ]
  • 「女ともだち」「深く深く、砂に埋めて」真梨幸子
    [ 2012-03-18 23:27 ]
  • 「紙の月」角田光代
    [ 2012-03-03 20:06 ]



「ナナマルサンバツ」杉基イクラ


「ナナマルサンバツ」 杉基イクラ
現在1~3巻まで発売中のコミックス「ナナマルサンバツ」。
高校でクイズ研究会に入った男の子の部活漫画です。
現在、競技かるた部を舞台にした「ちはやふる」が大ヒット
してますが、競技クイズの世界も面白い! 高校生なので
早押しクイズのためのボタンが高くて買えない、みたいな
細かい描写も面白いし、かるた同様「ここのまで聞けば
問題の途中でも押せるポイント」があったり、知識の暗記
だけでは勝てない熱い駆け引きが展開されるんです。
スポーツ漫画もいいけど、スポーティーに文化的な部活動に燃える高校生たちのお話も
かなり、エキサイティング!今、続きがかなり気になる漫画の、ひとつです。



by tohko_h | 2012-05-10 13:21 | reading | Trackback | Comments(0)

「雪と珊瑚と」梨木香歩


「雪と珊瑚と」梨木香歩
21歳のシングルマザー・珊瑚は、幼い娘の雪とふたり、
食べていくためにパン屋でアルバイトをしていた。が、
間もなく閉店すると聞かされ、またあるきっかけを得て、
カフェをOPENすることを決意する。雪を預かってくれる
くららさん、という女性や友達と相談をしながら…。
というわけで、食べ物小説としては嫌味がなくてよいお話では
あるんだけど、物件を借りたり野菜の仕入れ先を決めたり、
いろいろなことがかなりトントン拍子に進んでいく展開が続き、
そんなにうまくいくかなーと、辛酸なめるほどじゃないけど
世の中思い通りにいかないなぁという経験を何度かしている大人が読むと、
ファンタジーにしてもなんだか…と、ややビミョーかも。
ヒロインを嫌うバイト先の同僚の気持ちもちょっとはわかるなーという(笑)。
「西の魔女が死んだ」のファンタジックな感じはさじ加減がちょうどよかったんだけど、
この小説はかなり「あまーい」トーンです。
心が疲れてしまいそうなときはいいのかも、その優しいムードが。
でも本当に疲れているときに読むと、もっとぐったりするかも。
かなり読むタイミングと読者の置かれてる状況によって感想変わりそうなタイプの
小説です。



by tohko_h | 2012-05-09 13:00 | reading | Trackback | Comments(0)

「マウス」村田沙耶香

しばらく、本を読むこと自体をやめようかな、と思うほどハズレな小説ばかり
引き当ててしまい、ファッション雑誌と三浦しをんのエッセイばかり読んで
暮らしてましたが、久々に心に刺さってきたものが何冊かあってよかった、
というわけで本ネタでございます。
「つまらない本が嫌いでも…ど、読書は嫌いにならないでください」と、演説
されたような1冊(この、前田敦子ちゃんの演説ネタもそろそろ古いかしら(笑))。

さて、というわけで、村田沙耶香の「マウス」です。最近だと、自分の性と折り合いが
つかない女性たちを描いた「ハコブネ」で話題になってる作家さんですね。
私は、あまり自分のなかにそういうテーマがないので(むしろ、せっかく女性に生まれた
のに、なんで女らしくないんだろう、と、そっちで悩むので、自分は男子かも?と悩んで
乳を平らにするブラジャーをつけるヒロインの気持ちがあまりわからなかったのでした)
そちらはささらなかったのですが。

パッとしない公立小学校の女子生徒として育った私には、キタキタキター(この文章の
「パッとしない」は、どこにかかるでしょう。①公立小学校②女子生徒③私…正解、
たぶんすべてに)という感じの、高学年の女子って大変ね小説の傑作が「マウス」です。

「マウス」村田沙耶香

場面は小学校5年の1学期の始業式から。
主人公の田中律は、大人しめの女の子。
去年まで親しかった子たちとはクラスが離れ
「早く自分に似た子を探して組まないと」と焦る。
この必死な感覚を大人になっても覚えてるところが、
やっぱり作家の記憶力って偉大だな、と、一気に
物語に引き込まれていった。物語のメインは、
クラスに溶け込めないやせっぽちで背の高い瀬里奈
という女の子と律の交流なんだけど、その背景にあるクラスの女子の人間模様の
描きこまれ方が、小学校高学年思春期あるある、みたいな感じで生々しかった。

地味な律は、クラスの女子を見渡していて「よそのクラスから見てもあそこのグループが
一番だと分かる」メジャー組、とか、「同じくらい着飾ってもメジャーグループより
劣るグループ」とか「自分たちは大人しいグループで済んでるけど
あっちの大人しいグループは男子にキモい、と思われている。大人しい、と、キモい、
の差は、メジャーな人から話しかけられたときの反応に卑屈さが混じってるかどうか
なので緊張する」とか、もうねー、11歳の子が考えそうなことがネチネチ描かれて
いるのです。メジャーグループの子だと先生とタメ口率が高いとか、あるあるって感じ。
最大の秘密(心から信頼されないと打ち明けてもらえない)が「好きな男子のイニシャル」
とかね、わー、あったあった、と、悪い意味で記憶の扉がバンバン開きます(笑)。

そうそう、こういう粘り気、あった。
自分が女子として価値があるかどうかが気になる年代で、そこに、初ブラジャーとか初潮とか
初恋(幼稚園時代とかと違い、そろそろ、付き合うということが視野に入ってくる?)とか、
面倒なハツモノがどっとおしよせる時期なんですよ。その面倒さがつらくて息苦しくて、
コドモのときとは異質の、大人の私たちが持つのに近い(そして未熟さゆえにあやうい)
残酷さにスイッチが入ってしまうんだな、と今ならわかる。

しかし、当時はつらかったです。
どちらかというと、そういう残酷さをぶつけられたことの方が多かったいじめられがちの
ローティーン時代を送ってたもので。
私の場合、こんなところで謙遜してもしょうがないから書くけど、成績がいつもクラストップ。
で、それゆえに「成績がよくても羨ましくないあの女」とは思われたくないわけです。女子には
成績なんかより重要なことがあるって、もう7,8歳からみんな知ってるから(笑)。でも、
親の趣味でいつも変なヘアスタイルだったし、服も小学校5年くらいまで興味無かったし、
でも第二次性徴は早めで老け顔。イケてる小学生女子を気取るには色々足りなくて、でも
テストとかあると目立っちゃって、その分、運動会で足が遅いとか絵がヘタとか、
人目につくアラはより悪目立ちするという。
「成績が良いのでクラスで名前を覚えられるのは早いし時々委員とかもやるけど、メジャーな
人気者とは全く違う人」という位置でいられればまだましなほうって感じで…小学校5年から
中学くらいまでは、いろいろ生きにくいタイプの子供でした。

なので、そのころのことを思い出しつつ、うへー、やだー、そうそう、あったあった、とか
ひとりで突っ込み祭りしつつあっという間に読んでしまいました。

もちろんそういう「イタかったあのころ」を振り返りつつ大人が読むのもいいと思うんだけど
現役思春期で、そういう「教室での位置づけが怖くてたまらない子」にも薦めたい1冊です。
小説の後半で、主人公たちがみんな10歳くらい年を取って大学生や社会人になってる
パートのお話になるんだけど、小学校の時は「あのグループはメジャーでドキドキ」みたいに
思っていた人と普通にヒロインもしゃべれるようになってるんです。そうなんだよ、そんな
ものなんだよ。教室の壁と天井とっぱらったらみんな同じ子供なんだよ。みたいな
大人目線のエールにも思えたりして、ちょっとホッとできるかも。



by tohko_h | 2012-04-25 10:55 | reading | Trackback | Comments(2)

「俺物語!!」①巻 原作・河原和音 漫画・アルコ

「俺物語!!」①(集英社・マーガレットコミックス)
久々に女の子向けマンガにハマってしまいそうな予感!
カバーイラストの中心にいる、顔も体も四角張っていて
思わず、君は少女マンガ界の住人なのかい?と問いつめ
たくなる彼・剛田猛男(高校1年生)が主人公なんです。
彼は、いかつい外見と弱い人を助ける強い心と腕っ節
の持ち主の男の中の男。好きになった女の子はいつも、
イケメンの親友・砂川を好きになってしまい片思い専門
の正しい硬派くん。ある日、他校の女子・大和さんを
チカンから救ったことをきっかけに仲良くなる。きっと
彼女も砂川(その場に一緒にいた)が好きだろう、僕は
隣で一緒に会えれば楽しいしいいや、とあきらめモード。
しかし大和さんの真意は・・・


「先生!」や「高校デビュー!」そして現在は吹奏楽部を舞台にした「青空エール」を
連載中の、すがすがしい青春モノの第一人者・河原和音先生。そのすがすがしくまっすぐな
作風ド真ん中、で、硬派な男の子が主人公ってことで、実に気持ちよく読めます。そして
漫画を描いているのは、テレビドラマにもなった「ヤスコとケンジ」でおなじみのアルコ先生。
女の子は可愛くて、画面全体が現代的な華のある漫画を描かれる方で、この作品のいかつい
主人公の剛田くんもすごくキュートにある意味、超個性的な男前として登場しています。
お互いの作風がすごくきれいにかみ合って、コラボを提案した編集さんのセンスの良さにも
脱帽です。ブラボーです。

ふつう「イケメンの親友の方がモテて当然だ。俺は応援役でいい」なんて主人公、ヒクツで
読んでていやになりそうなところなんですが、剛田くんの場合は、本当に心の底から、
砂田くん(親友)と、大和さん(出会った女の子)をいい人たちだ、どっちもハッピーに楽しく
なってほしい、と思ってる言動なので、そういううそくささ、暗さがないんですね。そんな風に
剛田くんにだいじに、だいじに思われる砂田くんも大和さんも本当に可愛くて良い人たち。
読者は、そんな一生懸命友達思いの剛田くんの無私の優しさが「ほんもの」ってところに
キュンとさせられてしまうことでしょう。

イヤな人が出てこない、マンガのお約束てんこもり(チカンから助けてくれる男らしい彼、
イケメンのライバル、ヒロインの趣味はお菓子作り)なのに凡庸にならないテンション、
ある意味、古き良き時代の少女マンガ(ただし主人公は男)のような心地よい1冊です。
いっぱい笑いつつ「あーでも、こういう友達がいて、こういう恋愛できたら幸せだよね」と
シンプルに友情や恋愛っていいね、と思える可愛い漫画。いま、一番人にお勧めしたい
1冊です。



by tohko_h | 2012-04-23 14:51 | reading | Trackback | Comments(2)

三浦しをん「舟を編む」が本屋大賞に選ばれた!

毎年「審査員の書店員さんとはシュミがどうも違うんだなあ、ううむ」と思っていたので
私が大好きな三浦しをんさんが本屋大賞を今年受賞するとは思わなかったので
ビックリ&嬉しかったです。

私なんて発売日に買って、しかもイベントにも行ってサイン本も持ってるもんね!
わーいわーい。

みたいなことをあちこちで言い散らかしてたら、私の行きつけの某店には三浦さんも
お客としていらっしゃってることをひょんなところから知りました。
ちょっと、いや、かなり感動でございます。

ちなみに三浦さんは伊勢丹もよく行かれてるみたいだし(エッセイで「欲望百貨店」と
書いておられます)、なんか、勝手に親しみを感じちゃいます。出身大学も一緒だし!

というわけで、次の三浦さんの新刊をめちゃめちゃ楽しみにしつつ、過去の作品を
読み返している今日このごろです。文章に無駄が無くて、こういう風にものを
書けたら楽しいだろうな、とつくづく思います。



by tohko_h | 2012-04-17 12:39 | reading | Trackback | Comments(2)

「ビューティフルピープル・パーフェクトワールド」


美容整形は当たり前。
ブサイク→美男美女、というのは当然で、性別も年齢も自由自在に
ワンコインからお直しokな、近未来の、どこかの世界のお話。
連作短編集。

凄く美しい(あるいは醜い)主人公の生きづらさを描いた小説や、美容整形で外見を
変えて人生を変える、みたいな話って、小説でもマンガでも時々、ある。
もうすぐ公開されるエリカ様主演の「ヘルタースケルター」(岡崎京子の漫画が原作)も
全身整形で美人になったモデルがヒロインだったっけな。
佐藤隆太主演の今クールのドラマも、美容クリニックが舞台になっている。

こういう話って大概「美人もストーカーとか変な人につきまとわれたり同性にしっと
されて大変なんだよ」という、美人も楽じゃない理論に持って行ってたり、あるいは
「ブスでも内面のよさや頭の良さで幸せになれる」という、まあそういうケースもあるけど
人並みの容姿がないと成功したらしたで「でもブスじゃん」で終わりだよな、という
嘘っぽい感じの白々しい話だったりすることが多い。できの悪いファンタジーだ。

これは、なんか、そういうのとは、違うみたい。
整形してきれいになることは全員できるけど、整形してきれいな人がみんな幸福じゃない、
という(ブサイクよりはマシかもですが)、という感じ。

意外と、容姿が人間の人生に与える幸福や不幸って、いろいろなタイプの幸不幸の
中の一部分にすぎないのかも、みたいに、割と客観的になれるというか。
(もちろん美貌ゆえに大金を稼ぐタレントやモデル、とかもいるわけだけど)

で、美男美女が普通、のこの世界には、整形をしていないもって生まれた天然の
バランスが悪い顔の人が働くキャバクラみたいなお店もあるんですよ。逆に、
道を歩くのが美男美女だらけだったら、そういうお店が流行るような気もする…

本当にまとめられなくてアレなんだけど、タイトルの「ビューティフルピープル」と
「パーフェクトワールド」の間の中黒は「イコール」ではないな、って思いました。
「NOT パーフェクトワールド」かもしれないし「一応建前上はパーフェクトワールド」
かもしれない。



by tohko_h | 2012-04-08 16:29 | reading | Trackback | Comments(0)

「学問」山田詠美


「学問」 山田詠美
静岡県の田舎町に東京から転校してきたフトミこと仁美は、
美男子でもないのにカリスマ性と強い心を持つ心太、
裕福な医者の息子で、とにかく食べるの大好き少年の無量、
授業中でもいつでも眠りたくなってしまう千穂、の3人と出会う。
そして、彼らは裏山の秘密基地に集う特別な仲間になった。
そこから始まる4人の小学校から思春期の完成までを描いた
青春というより、むしろ思春期小説と呼ぶべき傑作。



と書いても、面白さが伝わらないのがもどかしい。あらすじだけだと、地方都市で
4人の幼なじみたちが成長していく小説、で終わってしまうのだもの。
あらすじで判断して「地味そうだなー」と、この本をスルーする人は多いだろう。
私も、人がバンバン死んで謎がどんどん深まってどんでん返し、みたいな
ミステリーとか、イタタタと共感してしまう働く人を主役にした小説とか、割と
「いろんな事が起こって大変そうなのが最後にはどうにかなる話」みたいな
分かりやすい小説を普段は好むので、うっかりパスしてしまうところだった。
恋愛小説じゃない山田詠美なんて、とか思っちゃってね。
でも、ヒマつぶしに文庫だしーと買ってよかったです、ほんとうに。
「学問」というタイトルだけど、彼らが学校の勉強に燃える話ではもちろん無くて、
生きて行く上での心と体が覚えるべき事を学んでいくプロセス、みたいな意味
なんじゃないのかな、と読み終えた今は思う。滋味あふれる良いタイトルだ。
そして読者の心にも何か凄く栄養になるような感じがする。

学校でいろいろなタイプの人と接したり、親が、親ではなくて生身の男女に見えたり
エゴを持つ人間として見えたり、という子供の目線で描かれた小説世界。
子供のころは怖いことがいっぱいあったな、ということを読んでいて思い出す。
クラス替えも怖い。
親のセックスをうっかり見てしまうのも怖い(父が母をいじめている、と思い、両親の
不仲や離婚を想像して怯える子供心が可笑しくも切ない)。
友達より早く大人になるのも、遅れるのも同じだけ怖い。
大人になった今の自分から見たら「どれも、当たり前のこと」なんだけど、リアルタイムでは
自分もビビったなーみたいな懐かし苦笑いの連続である。

そして、男子の性欲の目覚めをカラっと書いた素晴らしい青春小説はいっぱいあるのに
なんとなく「恋人ができてキスされて寝て…」みたいな流れとしてしか描かれない女子の
性について、もっと能動的に描かれているのも、さすが詠美さん!である。
仁美は、その気持ちよさがセックスにつながってると知らぬまま、自分の体に快楽を
与える方法を学習し、やがて、文学作品のラブシーンや男子の体のパーツをイメージ
することがその気持ちよさに加速をつけてくれることを知る。小太りな少女が性欲に
目覚めて一人であれこれする、なんて、普通に考えたらちょっとグロいかなーってところを
山田詠美の品格あふれる文章でスパッと書かれると、いいもの読んだな~と素直に
受け入れられてしまう。もう魔法の域だ。

そんな仁美は、性欲。
食欲少年の無量は、食欲。
よく眠る千穂は、睡眠欲。
人間の三大欲望をそれぞれフルに楽しみ、学んだ三人と、彼らにとってかけがえのない
愛すべき友人の心太(彼は、厳しい家庭環境で育ったので、心を大人にする、という
「学問」の優等生なのかも)の成長と人生をじっくり見守るような、そんな濃い時間を過ごせる
1冊だった。

大人の人には無条件でお勧めしたい本ですが。
リアルタイムの思春期の人には、どうなんだろう。
大人になる「学問」の優秀な参考書になりえるかもしれないけれど、やっぱりそれは
自分で経験値上げていくのがつらくも大切なところだしなぁ、とも思う。

ちなみに、心と体の成長に翻弄される地方都市の少女を描いた姫野カオルコの
「ツ・イ・ラ・ク」と一緒にお勧めしたい感じもしました。
どっちもせつなくていい本です。



by tohko_h | 2012-04-04 16:05 | reading | Trackback | Comments(0)

「ナミヤ雑貨店の奇蹟」東野圭吾


「ナミヤ雑貨店の奇蹟」 東野圭吾
浪矢さんが営む「ナミヤ雑貨店」。
夜の間にシャッターの郵便入れに相談の手紙を
投げ入れておけば、翌朝には店の裏の牛乳箱に
返事が置いてある。という、プチ文通のような形で、
店主が多くの人たちの悩みに答えてきた。しかし
ある夜、なぜか時空が捻じれ始めて、様々な
時代の悩める人々の間を手紙が行きかう…


東野圭吾モノで「時空を越えて云々」というと、若い日の父に、過去にトリップした
息子が出会う、という「トキオ」という作品があります。

単刀直入に言うと、私の中では「東野ワースト」で、手元に本も置いていないほど
好きになれなかった1冊です。映像化もされてるし人気のある方に含まれる作品
なんですけどね。個人的に過去の世界にいた主人公の父親の荒くれっぷりに
好感が持てず…というわけで「東野さんで時空超えかー、んー」と、手に取るまでは
あまりノリノリではなかったんですね、正直。
しかも、もともと、ファンタジックなお話って、そんなに好んで読まない方だし。

ポスト・手紙・時空を越えてっていうと、観たことないんだけど、「イルマーレ」って
いう映画もあったなぁなんて思いながら、発売日に手にとって何もあまり考えずに
読み始めました…
※ちなみに、いつも村上春樹や東野圭吾の新刊が出ると、タワー状に積み重ねて
売ってる三省堂本店ですが・・・(これはガリレオ文庫のとき)

今回は、村上春樹の1Q84(文庫版)も発売日が確か一緒とかで、どっちを
タワーにするんだろう、と見に行ったら、村上春樹のほうでした。
こちらは、普通に平積みでした。

しかしこの「あんまり楽しみにしてなかった」ということにより、むしろ興奮と感動が
より深く激しく「ナミヤ雑貨店~」を読む私に襲い掛かりました。
結果、私にとっては前田敦子の卒業並のサプライズになってしまいました。

それぞれの章に出てくる人たちがパズルのピースで、最後に1枚の大きな絵に
なり、その中心にナミヤ雑貨店と店主の笑顔、みたいな物語の構造がすごく好き。

「麒麟の翼」にしても「トキオ」にしても、ある意味「流星の絆」でも、東野さんが
描く父子関係っていつもビターで切ないんだけど、今回は、ちょっとスイート。
ナミヤ父子の会話とか、とてもよかった。


「あしながおじさん」的に、全編が手紙っていうわけじゃないので、これを「手紙文学」と
呼ぶべきかどうか悩みますが、1通の手紙で誰かの人生が開けて行くという奇蹟を
描いた物語として、素晴らしいと思います。言葉の力を信じている人、信じたい人には
必読の1冊です。

売れっ子になりすぎると「飽きられる」という宿命にさらされる厳しいエンタメの世界ですが
東野さんの引き出しはまだまだいっぱいあるみたいで、次はどれを開いて書くのか、
とっても楽しみになりました。



by tohko_h | 2012-03-29 17:27 | reading | Trackback | Comments(2)

「女ともだち」「深く深く、砂に埋めて」真梨幸子

自分でも理由はよく分からないんだけど、普段は「後味が良い小説が好き!」
「読み終わって頭上に何かがパーッと広がるようなお話が好き」なはずなのに
時々、どろどろのぐっちゃぐちゃの、人間って嫌ねー、みたいな本が読みたくなる。
読みたくないはずなのに読んでしまう桐野夏生は別格として、最近だと
大藪賞を先日受賞された沼田まほかるさんなんかもそうだし、多分この
真梨幸子さんも、そういう「どろどろ小説」の代表的作家のひとりに数えられている
のであろう。書店のポップなどでも、とにかく怖い、気持ち悪い、酷い話、
救いはないです、みたいに、潔いほどネガティブな言葉が並んでいる。で、
なぜか、そういうのにグッと引き寄せられる瞬間があるんだよねー。ってわけで
2冊続けて読んでみました。

「女ともだち」

郊外のマンションで殺されたふたりの女性。
宅配便の配達員の男性が逮捕され、裁判に
かけられる。しかし、ある女性ライターは、
そのことに疑問を持ち、独自に取材を始めた…
被害者周辺に渦巻く嫉妬や負の感情、狂気を
書いて書いて書きまくり、一番おかしい人は誰?
みたいな感じの、ややホラー風味な一編。


「深く、深く、砂に埋めて」

生まれた瞬間から美しかった有利子。彼女を
愛したことにより、平凡なサラリーマンも、
意志薄弱気味な弁護士も、人生の階段を
踏み外して落ちていく。冒頭の扉ページに
「マノン・レスコー」の一文が引用されて
いることからも、著者は、いわゆるファム・
ファタル物が書きたかったのかなーと思う。

どちらの小説も、一気読みさせる、時には強引なほどのストーリー運びが巧み。

「女ともだち」の中では「同じ会社の中の正社員VS派遣」とか「スターの
追っかけ社会のオキニ(タレントに好かれてる追っかけ)VSオキラ(嫌われてる
おっかけ。嫌われる理由はさまざま)」とか、「同じマンションを高い値段で
買った人VS値崩れしてから買った人」とか、色々なパターンの女同士の対立が
嫌な意味でイキイキと描かれていて、同じ経験が無くても、張り合ったり意識
してしまう同性が身近にいるとしんどいよねーっていうレベルでは共感をしそうに
なってしまう。

「深く深く、砂に埋めて」のほうは、結構ロマンティックな結末。異常に人を
ひきつけるレベルの半端ない美女のヒロインが、芸能界だと綺麗過ぎてあまり
大成できず、パーティーに顔を出して金持ちをひっかけるような人生を選ぶ、
というところには、美女じゃない私が読んでもなるほどーというリアルな感じ(笑)。
ただ、頭を使って男をおとす、みたいな話じゃないので(男が勝手にハマる)、
「白夜行」のヒロイン的な怖さは無かった。

そして、ドロ読み欲(ドロドロの話が読みたいという欲望。今命名してみた)を
満たすには、ちょっとどちらも物足りなかったです。フィクションフィクション
してて(ひとつひとつのエピソードは生々しく描写されてるんだけどやはり
お話の展開が少し雑だからかなぁ)、作家が頭の中で作った「おはなし」だなって
安心して読めちゃうからかもしれない。



by tohko_h | 2012-03-18 23:27 | reading | Trackback | Comments(0)

「紙の月」角田光代


「紙の月」 角田光代
怖い本を読んでしまった。
銀行でパートをしていたまじめな主婦が
1億円を横領する話。1億円を横領って、
もしも自分だったらって考えると、凄く
大胆で到底できそうにない大犯罪って
感じがする。でも他人事として読めない
構成なんです、この小説…最初は、
若い男の人に老けた女と思われたくなくて高級コスメを衝動買いすることに
したときが、発端といえば発端。
手持ちの自分のお金が無くて、つい、お客さんから集金した5万円で買ってしまう
のです。一瞬だけど他人のお金に手をつける。
そのときはすぐに銀行で自分のお金を下ろして補填するので、本当に
「立て替えただけ」というだけで終わるのですが。
それが、次第に、何かに取りつかれたようにお金を使い、自分を信頼する顧客に
架空の定期預金をさせてその金を自分の口座へ…という詐欺をするまでの展開が
丁寧に描かれています。
デパートでつい試着もしないで服を買う場面。
高いものを買った後デパ地下で1000円以上のお弁当を見ても「高い」と
思わなくなってて無造作にこれもカードで、と買ってしまう場面。
たくさんのショップ袋を提げている自分を誰かに見てほしいと思う場面。
…嫌だ、ここまでならば、私にも、心当たりあるじゃん。
てことは、私のこの買い物への愛も、行き着くところはもしかして…と
今の自分の日常の延長にこんな怖いことも起こりえる?と想像できてしまう。
1億円横領女と私が、まったく別のステージ上にいるわけではなくて、割と
スタート地点は似通ってるというところが、本当に怖かったです。

「八日目の蝉」同様、愛情の行き場を、ぶつけ方を、表現を間違って犯罪者に
なってしまうヒロインの描き方が温かくも冷たくも無く「この人は、絶対に
この犯罪に走ったんだろうな、ごく普通に」という感じだったのが、この作家の
凄いところです。

凄い、怖い、ばかりでヘンな感想文になってしまいましたが、コレを読んだ後に
デパートに行くと、いつものように軽く「試着してみようかな」とか「では
こちらをいただきます」とカードを取り出しつつ声かける、みたいな行為が
とても重たく業の深いものに思えてきます。買い物が怖くなるなんて…この私が!
というだけで、この本の怖さ、相当なものです。



by tohko_h | 2012-03-03 20:06 | reading | Trackback | Comments(0)

毎日の事、時々、憧れの橋下大阪市長の事など。申し訳ございませんが、通りすがりorお返事の難しいコメントは削除させて頂く場合があります。
by tohko_h


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