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「感応連鎖」朝倉かすみ

「感応連鎖」朝倉かすみ_a0079948_82439.jpg「感応連鎖」
朝倉かすみ
美しく少女らしく賢く、良いにおいがするような
「夢の娘」として母が望む姿から程遠い節子。
幼いころの性的に特異な体験から、歪んだ
目線でしか夫を見られない教師の妻・初美。
誰の弱点も瞬時に見抜いてしまい、舌が勝手に
攻撃的な言葉を喋りだす絵里香。
物心ついたころから自分は美しい存在と自覚しつつ、
別次元の不幸で悩んでいた由季子。
自意識が皮膚の下で膨らみ続ける彼女たちの物語。



リアルな生活においては、女の子同士が見下し合うなんてイヤだわ!とか
順位の付け合いなんて無意味なのに…と判っているし、自分がどうやって
評価されてるのか真剣に考えると発狂しそうになるので(苦笑)、なんとなく
そういう「女性同士のランキング合戦」みたいなものってスルーしつつ
やりすごして日々生きているわけですが。

こういう小説をつい読んでしまうあたり、やはり、私も、自意識がどこか
異常に肥大している病んだ人間のひとりなのだな、と思う。

母親が理想のかわいい娘として扱うほどに、肥えていく娘。
適わない相手に対して「私のほうが個性があって魅力的」と
思い込もうと必死な娘。
自分の性的な価値(男性にとっての)を幼いころから自覚しすぎて
間違った女の使い方をしてしまう女。
そして、そういう屈託を持たないですむはずの美しく完璧な少女の
意外な飢餓感。

舞台が女子高、女同士のゴタゴタを心理劇的に描く、という試みは
面白いんだけど、朝倉さんの小説って、皮膚感覚っていうか、なんでも
どんなに感情を表現する言葉を連ねても、表面的に描いてる感じが
するので、どこまで読み込もうとしても、内面の葛藤やドラマを読んで
引き込まれる感じにならず最後まで物足りなかった。残念。
「グロテスク」(桐野夏生)的なものを期待して読んじゃったこっちも
よくなかったのだけど(苦笑)。

ついでに、結構緊迫感のあるところで誤字があって脱力。
by tohko_h | 2010-02-26 23:16 | reading