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「リセット」 垣谷美雨

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「リセット」垣谷美雨
生まれ変わって赤子
からとは云わずとも、
いわゆる「若かった
あのころ」の自分に
さかのぼって、やり
直すことができたら、
と思った事って、
ある程度年齢を
重ねてきた人なら
1度くらいはきっと
あるんだと思う。
だから、SFの古典、
ケン・グリムウッドの
「リプレイ」(原作読む
のはかなりしんどい。


お薦めは、今泉伸司先生の漫画バージョン。何度も人生を巻き戻す
主人公の熱い生き方から目が離せない!読ませます!)などの
いわゆる、人生を生き直す話っていうのが、小説や映画やドラマなどで
結構作られているんだと思う。

このお話も、そんな1本だ。
登場するのは、48歳になった3人の女性。
それぞれ、同じ高校に通っていたものの、
可愛くて女の子らしいそこそこ優等生
1,2を争う秀才。長身がコンプレックス
ヤンキー。男に騙され高校中退
という、それぞれ、互いにさほど関心もなく、親しくもない同士だ。
そんな彼女たちがある日、東京で再開する。デパートの物産展で
自分たちの育った街の名物が売られていると知り、軽い気持ちで
のぞいたら、ばったり会ったのだ。

かつてのカワイイ系優等生の知子は、一見ぶれない幸福を手に入れたようで、
満たされない気持ちと思いのこしだらけで生きている主婦。
優等生で一流大学に進んだ薫は、キャリアを積み上げ出世してきたけれど、
結婚や出産などを経験していないことを気にしている。
元ヤンキーの晴美は、定職も家族も持たず、だらしない生活にひたりきり、
貯金も希望もない日々を送っていた。

そんな3人が、ある不思議な店に行き、18歳のあのころにトリップする。
最初は困惑する(方言がしゃべれなくなってたり、とか、描写が細かいのが
いい。こういう荒唐無稽設定な話ほど、ディテールが大切!)3人だが、
「やり直しができるかも」と、それぞれが、違う人生を生き直すことにする。
知子は、主婦ではなくなりたかった夢を追うことにし。
薫は、好きな人と結婚して暮らす家庭を得ることにして。
晴美はくだらない男にひっかからずに生きることにした。

3人の「やり直し」は、それぞれに本当のシアワセを運んでくるのか。
それとも、新たな不満や不安を産み出すのか。
それは読んでのお楽しみ。

それぞれの悩むポイントがリアルで(結婚出産関連とか、職場での
女性の立ち位置難しいとか、親子とか嫁姑とか…)、共感したり
いっしょに傷ついたり、物語の中に否応なく巻きこまれて一気に読みました。

私自身、仕事がいやなとき生まれ変わりたいなら、17、18歳の大学受験前が
いいなあなんて想像することは時々あります。
高校時代は「勉強しないのについていけてる自分カッコいい」とか変な
自意識があったけど、素直にガリガリ勉強して難しい大学を受けたり、
司法試験に挑戦したり(笑)、頭を使いまくってみたいわ。
で、もっと別の仕事に就きたかったわ。

なんて妄想するんだけど…

もう1度、大学受験の勉強って…
就職活動って…
考えると、ぞっとします。
大学は大嫌いだったけど、それでも会えてよかった友達はいたし、
職場もいろいろツライ面がありつつも、モテさんとも会えたし(笑)。

あ、12歳まで生まれ直して、食生活に気をつけて太りにくい肉体作りは
したかったな(笑)!
by tohko_h | 2010-04-01 11:58 | reading