「三面記事小説」角田光代

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「三面記事小説」 角田光代
以前、三浦しをんと角田光代の対談を
青山ブックセンターに聞きに行ったとき
角田さんが「事件の実録モノを読むのが
好きだ」と言っていた。そんな角田さんが
実際に起きた事件をモチーフに書いた
短編集。つまり、角田版「黒い報告書」。


自分がいちばん印象的だった話は「ゆうべの花火」。
自分から好きになった人とつきあっても愛されてる実感がなくて
物足りないから、という理由で、さえない手近な男と付き合いだした女性。
しかし、その不等号はいつしかひっくり返り、彼女は、彼を独占するために
破滅への道を選ぶ…みたいなストーリー。自分を好きな人が好き、的な
愛されることを望んだだけなのに、とんでもない方向に流されていってしまう
様子が自然すぎてとても怖かった。
他にも、十代の少年を家に連れ込んだ中年主婦や、家のまわりにバカみたいに
高い塀を張り巡らせた姉の秘密や、ある姉妹の確執など…ワイドショー的な
家族のトラブルが事件につながる様子を丹念に冷静に描いてる作家の視点の
クールさが凄い。
後味の悪さ、桐野夏生級。

定価1300円(税込)→実感価格800円(62%)
ある意味凄く面白かったんだけど、読後感があまりにも悪すぎて
再読は無理っぽいので、1度読むきりならこれくらいかと。
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by tohko_h | 2010-05-01 01:13 | reading