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「向田邦子の恋文」 向田和子

「向田邦子の恋文」 向田和子
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放送作家になり忙しさのきわみにあった30代前半の
向田邦子。母の話し相手をし、妹たちのために
夜なべで洋裁をし、長女としての責任感一杯の
しっかり者だった…しかし飛行機事故で邦子が
死んだ後、遺品の中から1枚の封筒が見つかる。
そこには、一組の恋人同士…邦子と、N氏という
カメラマンの往復書簡がひっそり入っていた。
その手紙を後年、実妹の向田和子さんが、自らが
つづった「姉との思い出」とともに1冊の本にしたのだ。


高校時代、1度、向田邦子にハマって、シナリオまで買って読み耽り
関連書籍(一緒に仕事をしていた久世プロデューサーのエッセイとか)も
追っていたんだけど、これだけは読む気にならなかった。
姉の死後に妹がその手紙を公開するっていうのはどうなのよ?と
向田和子さんの行為そのものに疑問を嫌悪を覚えたからである。

しかし、私の野次馬根性は納まらず、今回、他の本を買うときに
なるべくついでっぽく、買ってみたりしたのだった。

結果、やはり読まないほうがよかったと思う。
もっといえば、出されるべきじゃない本だったとも、思った。

忙しい中、恋人のもとにかけつけて料理を作り、家族を支える
向田邦子のスーパーウーマンぶりは、当時、働く女性の絶対数がまだ
少なかった昭和前半としてはすごかったんだろうな、と思う。
それでも、こんなに甘えられる恋人がいたんですよ、幸せだったんですよ、
というのは、邦子自身が分かってればよかったのであり、遺族やファンが
知らなくてもいいんじゃないかなあ。

ただ、爆笑問題・大田さんによる解説は本当に素敵。文章が凄くカッコいい
(映画監督の川島雄三似のルックスも魅力的だけど)。なので、解説だけは
読む価値有り、と申し上げておきましょう。

定価380円(税込)→実感価格100円(大田光さんの解説分)
by tohko_h | 2010-06-11 10:08 | reading