「向田邦子の恋文」 向田和子
2010年 06月 11日放送作家になり忙しさのきわみにあった30代前半の
向田邦子。母の話し相手をし、妹たちのために
夜なべで洋裁をし、長女としての責任感一杯の
しっかり者だった…しかし飛行機事故で邦子が
死んだ後、遺品の中から1枚の封筒が見つかる。
そこには、一組の恋人同士…邦子と、N氏という
カメラマンの往復書簡がひっそり入っていた。
その手紙を後年、実妹の向田和子さんが、自らが
つづった「姉との思い出」とともに1冊の本にしたのだ。
高校時代、1度、向田邦子にハマって、シナリオまで買って読み耽り
関連書籍(一緒に仕事をしていた久世プロデューサーのエッセイとか)も
追っていたんだけど、これだけは読む気にならなかった。
姉の死後に妹がその手紙を公開するっていうのはどうなのよ?と
向田和子さんの行為そのものに疑問を嫌悪を覚えたからである。
しかし、私の野次馬根性は納まらず、今回、他の本を買うときに
なるべくついでっぽく、買ってみたりしたのだった。
結果、やはり読まないほうがよかったと思う。
もっといえば、出されるべきじゃない本だったとも、思った。
忙しい中、恋人のもとにかけつけて料理を作り、家族を支える
向田邦子のスーパーウーマンぶりは、当時、働く女性の絶対数がまだ
少なかった昭和前半としてはすごかったんだろうな、と思う。
それでも、こんなに甘えられる恋人がいたんですよ、幸せだったんですよ、
というのは、邦子自身が分かってればよかったのであり、遺族やファンが
知らなくてもいいんじゃないかなあ。
ただ、爆笑問題・大田さんによる解説は本当に素敵。文章が凄くカッコいい
(映画監督の川島雄三似のルックスも魅力的だけど)。なので、解説だけは
読む価値有り、と申し上げておきましょう。
定価380円(税込)→実感価格100円(大田光さんの解説分)