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「向日葵は見ていた」西本秋

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「向日葵は見ていた」 西本秋
15年前、村はずれの洋館で暮らしていた
風変わりな人たち。一夜にして彼らが消え
残ったのはひとつの死体と、謎。
そして現代。洋館で暮らしていた少女は
大人になり、平凡な毎日を送っていた。
そこに届く、あの洋館を買えという手紙。
過去を辿る旅。洋館で知り合った少年。
消えた皆の謎がとけるのは、もうすぐ。


村外れの洋館、向日葵が怖いほどたくさん咲いている庭。
夏休み。プール学習、移動図書館、真夜中の虫取りツアー。
畑仕事、皆で食べる魚肉ソーセージ入りカレー、宿題の絵。
遠い街に買いに行った青い絵の具、女の子の白いワンピース。
ラジオ体操…

ノスタルジックな夏休みの幕の内弁当みたいな小説、という印象。
文章がなんだか懲りすぎていて、さくさく読めず、なんと!
3日がかりで読みました(私はたいてい1冊の本はその日のうちに読み終えて
しまうことが多いので、こんなこと、めったに無い)。

先日読んだ米沢さんの「ボトルネック」にしてもそうだけど、最近は
こういう、交通整理すれば結構フラットな話を凝った文体で書いて
個性を表現しようとしてる、みたいなタイプの小説、はやりなのかなあ。
同じ話を書くなら、もっと伝わりやすい構成や文体ってあるだろうに。
と、全体に薄い膜がはってて、輪郭がぼやかされたような小説・・・私は
輪郭くっきり、展開ばっさり、みたいなほうが基本的に読みやすいし
文体に凝るならものすごくうまくないと意味無いと思うし・・・なんか
イマイチでした。

まあ、テレビや映画の人にしたら、そのぼんやりした見えそうで見えない
小説世界をビジュアルで立体的にしてみたい、と、逆にそそられるのかも
しれないけど(漫画編集者としても、そういう部分はあるなー。読んでて
ハッキリしない小説だからこそ、漫画できっちり描きつくしたバージョンが
読みたい、みたいな感想をこういうタイプの小説には割と抱きがちです)。

定価1995円→実感価格700円文庫でこれくらいなら…。
by tohko_h | 2010-10-08 23:13 | reading