人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「ある日、アヒルバス」山本幸久

「ある日、アヒルバス」山本幸久_a0079948_0231033.jpg
「ある日、アヒルバス」(文庫版)山本幸久
東京都内を中心に走る観光バス会社アヒルバス。
そこで働くデコちゃんこと秀子は、仕事が
嫌いなわけじゃないけれど、いつまでも
続ける!と決めているわけではないし、
将来の不安らしきものもないことなくて。
…そんなある日、突然、新人ガイドの研修
という重大な任務を命ぜられた秀子は…


この「泣ける」とか書いてる帯はまずはずして忘れて読むべし!です。
山本幸久のお仕事小説にハンカチ持って向き合うなんて、ばかばかしい!
面白がって笑って笑ってちょっと考えて「私も、働こう、自分のすべきこと、
しよう」って思えれば、それで十分なんじゃないかな。ちょっと胸が熱くなって
涙が出たとしてもそれはオプションってことでよろしくですー。

自分が人生で就ける仕事の数には限界があり、だからこそ、やったことは
ないけど知ってる仕事の裏側には興味があるわけで。そんな好奇心を
満たしつつ「文句言ったり不安だったりむかつく人がいたり、職場って
なんだろ。謎多すぎ。でも、お給料分以上になんか時々頑張っちゃったり
するんだよね」という、まっとうな勤め人キャラの姿に勇気付けられる、
いつもの山本作品のよさが盛り込まれた1冊です。
一緒にやけ酒飲んだり、時には「それは違うよ」って言ってけんかしたり、
そんな風に、威張らず、カッコつけず、ガチで仕事の話ができそうな…
この「アヒルバス」という会社にもそんな人たちがいっぱいいます。鋼鉄の
女と呼ばれる怖いベテランガイドも、研修を手伝ったり献立でえこひいきを
してくれる寮母さんも、オダギリジョー気取りの秀子を口説いてくる運転手も
毒舌を吐きつつ意外とキャリア志向の同期ガイドも…ああ、こんな人
職場にいそうだ、と、バス会社で働いたことなんてない私が思ってしまうのが
不思議です。で、面白い!

定価760円→実感価格800円(≒105%)

これはぜひ、元バスガイドで、アヒルバスのモデルになった某鳥の名前バスの
ガイドさんと浅草など観光名所の駐車場でガンとばしあってた、という(笑)
うちの母にも読ませなければ。ていうか、はとバスでも乗せてみるか(笑)。
by tohko_h | 2010-10-26 00:39 | reading