「虹色の皿」拓未 司
2010年 12月 09日「虹色の皿」拓未 司
岐阜の高校を卒業して、調理師学校に
入学した18歳の春…初めてのひとり
暮らし、ハードな授業、就職試験など
学園ものプラスお仕事もの風味の
青春成長小説。実は、著者自身が
高校卒業後、辻調理師専門学校で
学び、シェフから作家に転身した、
という経験の持ち主だそうです。
お調子者ででも一本気なところもあり、という典型的な青春物の主人公らしい
主人公のドジや熱血ぶりはあたたかい気持ちで読めましたが、恋愛パートが…
好きじゃない女の子と童貞を捨てるためにつきあい、関係をもちまくった挙句
でも美人の本命への気持ちに気づいて別れる、という展開は、爽やかじゃなさすぎ。
別に若者の恋愛はみな爽やかであれ、とは言わないけど、こういう小説だったら
ベタに、ライバルタイプの女の子とケンカしつつも、とかさ、なんか、恋愛も
それっぽいほうがバランスとれた気がする。青春小説って、奇麗事がある程度
許されるある種のファンタジーだと私が思ってるからかもしれないけど。
定価1680円→実感価格680円
文庫で読めばお料理ものとしてまあ読めるかな、と。
調理師専門学校の青春もの、だったら、なかじ有紀の漫画「ハッスルでいこう」
が、なにげにお勧め。調理師専門学校内でも学校行事があるとか、いろいろ
のぞけた気分で楽しめます。まあ、なかじ漫画の特徴で「ふられたり片思いの
相手に恋人ができたり、という恋愛ではじかれた人もおさまるところにおさまる」
というパターンはやっぱり出てくるけどね。