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映画「白夜行」

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東野圭吾最高傑作と言われる「白夜行」。私もはじめて読んだ東野作品で
ものすごくはまった(面白い!素敵!好き!と単純に楽しく読める話では
ないところが、また、すごく心惹かれてしまう)ものです。

ドラマで、山田孝之(桐原)、綾瀬はるか(雪穂)、そして武田鉄也(刑事)
の迫力のある演技と、映像がキレイなぶんだけ凄惨な感じもなかなか
よかったです。過去の「事件」の場面を演じる子役もすごかったし。

というわけで、ついつい、映画も観てみようと初日にふらりと行きました。
2時間半…長く感じました。本来3時間以上かけてやれそうな物語なんだけど
どうしてここのシーンを延々とやって、あれをはしょるの?みたいな、
エピソードの取捨選択がことごとく私の好みと合わない感じ。

雪穂という女性は、外見は誰が見ても美しくしとやかなのですが、一緒に
いると「人間の皮をかぶった恐ろしい怪物に見える」と言われたり、
なんだか底知れない怖さや冷たさを持つ女性。彼女に関わった人たちが
次々と人生を破壊されていく、みたいな悪女でありながら自らも心の傷口が
いつまでも癒えてないのかな、と思うところもある、みたいな…
女優だったら誰でもやってみたい難しいけど心惹かれるヒロインです。

しかしその幸運に恵まれた堀北さん演じる雪穂は、セリフで「綺麗」と
言われても綺麗に見えず(堀北の周りのほかの女優さんがなんだか
すごく素人っぽい外見の人ばかりで…それで相対的に「綺麗」ってこと?
絵面がものすごく地味でした)「人の心をあやつることができる」
と説明されてもそういうきらめきを演じておらず…最後までよく周りの人も
彼女の悪(しかも陳腐な小悪党レベルにしか見えない)にふりまわされて
くれたなーふーん、という感じでした。

しかし唯一ボロ泣きしたのは、後半の船越栄一郎演じる刑事のモノローグから
続く長いセリフのところ。ただの追っ手としてではなく…むしろ親に
恵まれなかった若い主人公たちに、父親のようなまなざしをむけ、心を
傾けていく演技が凄くよかったです。船越自身、インタビューで、自分自身が
「僕自身結婚したときもれなく息子がついてきた(※松井一代には、前夫との
間の子がいた)ので、人にはいえない苦労も色々あった。自分が乗り越えて
きたこと、そのために息子から受け取った思いを集約してこそ、今の自分の
存在感になり、今回は(刑事役に)それが生かせたと思う」と語っています。
船越さん自身が「父子」というテーマを盛り込んだところだけよかったと
いうのは、雪穂と桐原という若いふたりの切ない関係性が描ききれてなかった
という意味では失敗ですが、船越さんの別の演技の引き出しの中身がじっくり
観られたという意味ではよかったかな。

レディースデーとか映画の日に1000円で見るならありかも(私は
定価で観たので、これで1800円は高いなーと正直思いました)。

大阪の下町が舞台だったのがなんで東京近郊に舞台変えちゃったんだろう。と
いうのもちょっとがっかりだったかな。
by tohko_h | 2011-01-30 14:01 | watching