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「天空の蜂」東野圭吾

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「天空の蜂」 東野圭吾
東野作品に「白夜行」から入った私は
理系寄りの作品群には手を付けずに
いました。しかし、毎日ニュースで
福島原発の危機について報じられて
いる中、1995年に、原発を主役に
東野さんが作品を書いていた、と
知ったのです。そうして手にとった
のがこの「天空の蜂」でした。


物語の導入部はパニック映画風。
極秘に開発されていた超大型ヘリコプターのお披露目の日の朝、
コンピュータによってそれは、遠隔操作される巨大なラジコンと
化していた。「天空の蜂」と名乗る犯人は、ヘリに爆発物を
積み込んであることを宣言し、原発の真上でホバリング
(空中で静止してる状態)させ続ける。犯人の要求は、
日本中の原発を即刻使用不能にせよ」というものだった。
しかし、無人のはずだったヘリには、いたずら心を起こした
少年が乗り込んでいた。原発の安全や少年の命を突きつけられた
政府や電力会社の関係者たちが出した結論とは?そして、
犯人の正体と目的は!?

というわけで、原発の真上にヘリコプター(爆発物込み)がじっと
浮かんでいる、という恐ろしい状態の中物語は進んでいく。
原発周辺で暮らす人々の恐怖、そんなことについては無頓着な
まま「冷房が効いてなくて今日のデパートは嫌だわ」(もちろん
計画停電とかヤシマ作戦って言葉は出てこないけど、原発を
停めるにあたって冷房などの節電に国中が応じるのです)と
愚痴る主婦もいる。その温度差がリアルというか、15年以上前に
書かれた小説の中に、今のリアルがあったことに驚いた。
作家の想像力はすばらしい。でも人間が想像できる範囲の危険を
はらんだ原発の存在と、それを知りつつ楽しい電気まみれの暮らしを
送ってきた今までは正しかったのかどうか。日を追うごとに
どんどん分からなくなってきている。
by tohko_h | 2011-04-07 23:55 | reading