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本屋大賞の現在

今年の本屋大賞受賞作「謎解きはディナーのあとで」を貸してくれた人から
第2位だった「ふがいない僕は空を見た」(新潮社R18文学賞受賞作)も
借りて読んだ。

ある狭い町でそれぞれの問題を抱えて描く人たちの日常と性を綺麗過ぎず
汚しすぎず描いたすごい連作小説。文章の密度が濃くて読むのに時間が
かかった(速読してるわけじゃないのに速いと言われる私ですが…普段は)。
玄米とかどっしりしたドイツパンみたいな文体が、時々胃もたれしながら
ぐいぐい栄養になるような刺激的な1冊。著者の窪 美澄さんには今後も
注目していきたいです。コスプレ好きな人妻←~彼女と寝る高校生←~
その彼を好きなクラスの女の子…みたいな人間関係の重なりがすごかった。

それでも、書店員さんの票がより多く集まったのは、ラノベ風の「謎解きは
ディナーのあとで」だったという、やや、あららーという結果。
※私はライトノベルや漫画が一般小説より劣ってる、みたいには全く思って
ないんだけど、洗練されてないラノベは、子供だましって感じがして
普通の小説のダメなやつよりある意味とほほだとは思ったり、してます。

この賞、たしか「全国書店員が選んだいちばん売りたい本」という基準で
始まったはずだが、今回の印象だと、「いちばん売りやすい本」を選んだ
のかなーという印象を持ちました。

ラノベで表紙がイラストでミステリーで軽めで読みやすく、アニメとか
映像とかタイアップもつきそうな雰囲気の「謎解きはディナーのあとで」が、
性をテーマにした、読者の性別や好き嫌いが分かれそうな「ふがいない~」
より売りやすいだろうしポップとかも作るの楽しそうだし、という、ある意味
とっても現場っぽい判断かなーと。

でも、それをすべて読者が真に受けて、本屋大賞の順位=内容の良い順番、
と思わないほうがいいな、と思いました。ひとつの参考、くらいにとどめて
おくべき賞だなーと。本選びの基準として信じてみたり頼りにするに値するか
どうか、ちょっと、あやうい感じがするから、今は。
by tohko_h | 2011-04-22 09:01 | reading