「どれくらいの愛情」白石一文

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「どれくらいの愛情」 白石一文
福岡を舞台にした恋愛小説集。
こういう本って大体「表題作が一番よかった!」と思う事が
多いんだけど、この中で私が一番お薦めしたいのは、別の
作品なんです。表題作の、自分を裏切った元彼女との複雑な
関係と心理描写が丁寧に描かれている所も魅力的でしたが、
1本目の「20年後の私へ」にグッときました。
39歳の離婚歴のある女性が、19歳の短大生だったころに
書いた「20年後の私へ」という自分宛の手紙が届くところから
始まるお話です。転職とか妊娠とかいろいろなリミットが見えてくる、女性にとっては
複雑な年齢を迎えたヒロインの「大人なんだけどどっしりしきれない感じ」に、自分も
ほぼ同い年なこともあり、すごく共感しました。
男性作家が書いているので、ヒロインは賢くて女らしくてちょっと美化というか、
できすぎの優等生タイプの女性ではあるんだけど、それが鼻につく感じではなくて
そういう聡明な女性でも迷ったり困ったり戸惑ったりいろいろあるんだな、と思えて、
読後感がすごくよかったのです。

舞台が福岡ということもあり、食事シーンがおいしそうだったり、見知らぬ地名に
なんとなくあこがれの気持ちを抱いたり、という旅気分も一緒に楽しみました。
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by tohko_h | 2011-09-10 21:06 | reading