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「金平糖の降るところ」江國香織

「金平糖の降るところ」江國香織
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男を共有してきた姉妹。しかし姉が本気で一人を愛し
「私だけのものにしたい」と妹との共有を拒んで結婚。
妹はアルゼンチンに渡りシングルマザーとして一人娘を
育て、セックスのかわりにヨガで体を使うことを覚え、
落ち着いた暮らしを得た。しかし、姉の夫は浮気を重ね、
姉もまた恋をやめられない。そして妹の娘も、いけない
恋をした。東京とアルゼンチンを舞台に展開していく、
むせかえるような大人の恋愛小説。


小説を読む時はストーリー展開重視の私。なので、ストーリーの展開が遅いと
イラだって「退屈」って思っちゃうことも多いし、自分的に「ありえない」という展開に
なると「あわないな、これ」と決めてしまう…要するに短気な読者なのです。

しかし、江國作品と向き合う時の私は違います。ストーリー展開…つまり
「おはなし」ではなくて、こまごまと描かれる「できごと」のひとつひとつを、
ビーズの粒をめでるように、それぞれのよさをじわじわ読み込むのが楽しいので、
展開そのものを追う感じにはなりません。

姉妹が男を共有、という、実際に姉妹持ちとして育った自分にとってはかなり
抵抗のあるお話だし、物語の重要な舞台・アルゼンチンも行ったことがないし、
共感したり感情移入して味わえないはずの私ですが、こんな恋愛もあるかも、
とか、こういう人もどこかにきっといるんだろうなー、と、作者の書くことに
ナチュラルに納得させられてつつ、ひたすら受け身で読みふけってしまうのでした。

なので「姉妹のありようを考えました」とか「恋愛って大変だな~と思いました」
みたいな具体的な感想はあまりないのですが、「そうか、こういうお話だったんだ」
と、まるごと受け取ってしまった感じです。

今回の小説だと、ワインを飲むシーンがとても多くて、読みながら飲みたい気持ちを
こらえるのがとても大変でした(今、週に1度くらいしか飲まないように努力中)。
by tohko_h | 2011-10-09 14:13 | reading