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「銀色の絆」雫井脩介

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「銀色の絆」雫井脩介
離婚した梨津子は、娘と共に名古屋に転居した。
娘はフィギュアスケートを習っており、本格的に
きわめさせてやることにしたのだ。夫からの
養育費が途絶えたり、コーチとの相性に問題
が起きたり、何より、五輪を目指すほどには
なかなかなれない微妙なレベルの選手である
ことに母親である梨津子が焦っていた。
母と娘の二人三脚でスケートにかけた日々を、
母と娘両方の目線から描くスポーツ親子小説。


フィギュアスケートのシーズンが来ましたね。
今年は個人的に贔屓の安藤選手がお休みでさびしい限りですが、やはり
試合の中継やスポーツニュースチェックしちゃいます。
しかし、みんなが知ってる浅田さんや安藤さんのようなオリンピックレベルの
選手になれる人は本当に頂点にいるわけで。その前の段階とか、フィギュアの山の
5合目とか、裾野にも、たくさんの「スケート選手を目指している子供たち」が
いるんですよねー。そんな「中堅クラスの選手」の青春を描いたこの小説、正直
試合のシーンなどの迫力がさほど感じられず、スポーツものとしての面白さを
味わえるタイプの小説ではありません。爽快感や感動を求めるなら他に読むべき
小説はある気がします。

どちらかといえば、コーチのためにお弁当を用意したり車で子供をおくりむかえしたり
する「スケーターの母たち」の献身的な姿にものすごく迫力を感じました。
滑ること以外の負担は引き受けてあげたいという本気な感じ。
正直、子供のいない、そしてスケートなどハードなスポーツの経験もない私からすると
「10代半ばの子供に対してずいぶん過保護だし親の主導権が強いんだな」とちょっと
驚いたりひいちゃったりするくらい、母親の頑張りっぷりがすごいのです。

そして、一部の一流選手以外に訪れる「引退」の時。今は荒川さんが25歳で金メダル
とったり、鈴木明子選手、安藤美姫選手など20代半ばでまだレベルアップしてる選手も
いるわけですが、だいたいの選手がどこかで「私はここまで」と決意して卒業していく。
そのシビアさが描かれているところが印象に残りました。

フィギュア選手の練習環境とかにワイドショー的好奇心はかなり満たされます。
by tohko_h | 2011-11-11 23:57 | reading