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「夏天の虹」高田郁

「夏天の虹」(みをつくし料理帖その7)
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私が読んでいる唯一の時代小説シリーズ。
江戸の街で庶民的な料理屋の女料理人と
して日々メニュー開発や修行に励む澪も、
もう26歳。当時の感覚だと「嫁き遅れ」。
身分違いの武士・小松原と思いが通じ合い
武家の養女になり輿入れ、と人生が開けて
いくようだったが、それには、料理の道を
諦めて、武家の奥方としての人生を選ば
なくてはいけないという覚悟が必要だった。


てっきり「身分違いの恋愛に苦しむ」話になるのかなーと思ったら、ネックは
身分ではなくて、好きな人との結婚と仕事が両立できそうにもない、という
きわめて現代的な葛藤を描いた物語だったので、最初から物語りに入り込みすぎ。
澪が彼をどれだけ好きか知っているから「身分がクリアできるなんてラッキー
なんだから、これは嫁いで好きな人のために料理を頑張る道もありでは?」と
思いながら読むんだけど、つる家(澪が働く料理屋)の仲間たちや客が、
彼女の苦心して生み出した料理に舌鼓を打ち、お代わりを求める場面を読むと
「この人たちとお別れして、武家屋敷で花嫁修業かー、うーん」と、自分の
ことのように悩んでしまうのだった。

正直文章はつたないところもあり(ラブシーン的なところで「彼の瞳の中に
うつる自分の姿が云々」とか、登場人物のせりふや動作があまりにも
ワンパターンすぎないかとか突っ込みどころが色々細かく読むとあるんですよね)、
そのへんで評価が分かれる作品だとは思うんだけど、キャラクター達の魅力と
1章にひとつでてくる澪の江戸料理があまりにもおいしそう、というので、
そのへんはだんだん気にならなくなってきます。

5月にはレシピ本が出るそうで、そちらも楽しみ!
by tohko_h | 2012-03-19 22:54 | cooking