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「黒い太陽」新堂冬樹

「黒い太陽」 新堂冬樹

テレビ朝日の金曜ナイトドラマの原作になっている、ということでなんとなく読んで
見ました。キャバクラの黒服からオーナーになりあがろうとする男の子の話。
小説だと、スタート時にはなんと18歳の男の子です。家庭の事情で右も左も
わからないまま飛び込んだ夜の世界。そこでカリスマオーナー(キャバクラだけで
100軒以上、焼肉店やレストラン、風俗店も多数経営)と出会って、
夜に輝く黒い太陽のようになってみせる、と野望をたぎらせるように変貌していく…
キャバクラで出会った、愛する女性・千鶴のためにも。

普段から「銀座ママの舞台裏」とか「歌舞伎町ホスト戦争」みたいな番組があると
ついつい見ちゃうので(自分が行けない世界だから興味しんしんなんですよね、
多分。形のないものを売ってるっていうのも想像つかない世界だし)、
そんな感覚で、面白く読める、と思ったんですが、主人公のなりあがり方に
ひねりがないし、結局、尊敬するカリスマ風俗王に反抗してるシロートにしか
見えないので、なんか、簡単にサクセスしちゃう、みたいな感じで面白みに
欠けました。挫折した、と見せかけて実はそれがチャンスだったり、ライバルが
最大の理解者で親友になるとか、常軌を逸した努力をするとか(「夜王」のホストの
指名合戦とか(笑))、敵を真正面から叩きのめす豪快なバトルとか(今日の
亀田くんみたいな判定勝ちより、こういうのはやっぱりKO!が痛快でよい)…
結局、私の脳が、ジャンプ式なのかも。
友情、努力、勝利が盛り込まれてないと物足りないっていうか・・・(笑)。

※戦後、ライバル誌に「週刊化」で遅れをとったジャンプ編集部は、子供たちに
アンケートをとって好きな言葉を訊いた。その上位3つが「友情・努力・勝利」。
それから、ジャンプのマンガは、これらの要素を盛り込んで作られるようになり、
他誌にあっという間に追いつき、追い越していくのである。伝説の始まりの
3つのワードなんですね。この小説、その基準で行くと、どれも半端なんですよねー。

主人公が信頼している人間が、病身の父親だけ…なので、彼が誰かに心を
許すシーンがないので読んでいて疲れるし、仲間との対立と友情、どっちもないと
こういうお仕事ものって一本調子になる気がする。努力も…結局人引き抜いたり
裏切ったりしてばかりで爽快感がないし、それゆえに、「勝ち」エピソードも、
ちょっと相手を出し抜いたって感じで、読んでてカタルシスがないのよー。
これを「カタギの親友と普通の男に戻って過ごすのが楽しみだったけど、
親友がキャバクラにハマって葛藤する」(友情)、「下積み、イジメ、地道な
営業」(努力)、「主人公の誠意がお客に通じてお店は人気に」(勝利)、と
イケイケな盛り上げ方をして…ってわけにはいかなかったのかな。
あのね、よその店から人を引き抜いたり、足を引っ張る戦法ばかりだから
つまらないんですよ。汚い手を99まで使っても最後の1は、主人公じゃ
ないとできない何かで勝ってもらいたかったな。
落とすにしても、そこまでもりあがってから落ちぶれるほうが面白い気がする。

そしてなにより…いくら厚手のハードカバーでも2100円は高い!!

むしろこういう猥雑な内容なんだから、ペーパーバック風のカバー無しの
装丁にしたりして、原価抑えられなかったのかな~。
とか、色々イライラひっかかりつつ、結構読むのに時間かかって(まる4時間近く)
ばんごはん食べそびれた…「読書ダイエット」となりますでしょうか。
by tohko_h | 2006-08-03 02:01 | reading