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「最愛」 真保裕一(しんぽゆういち)

a0079948_17342050.jpg「最愛」 真保裕一

昨日、母と妹と本屋さんに行って
「どうしよーかなー。買おうかな」と
悩んでたら母が買ってくれました。
「いつも色々貸してくれるから」って。
ただし読んだらすぐに母に渡さねば!
というわけで速攻読みました。
帯に「実力派作家が愛の闇に踏み込む! 
本年最大の問題作」とあるし、装丁も
恋愛小説風になってますが…
人が人を愛するときってこんなに
孤独なの?
と読んでて寒くなってくるようなさびしそうな人たちばかり出てきたような印象。

両親が事故死したため、親類の家に離れ離れに引き取られた幼い姉と僕。
そして僕は、やさしいおじ夫妻のもとで、いとこたちとともに育ち、
大人になった今は、小児科医として仕事をしている。
姉は、おばの家でうまく暮らすことができず、十代のうちに独立、
その後18年間、音信不通だった…
そんなある日、突然、姉が意識不明で病院に搬送されたと知らせが
僕のもとへ。ローン会社の火災による火傷と、銃で撃たれ傷を負い
重症の姉のもとに駆けつけたものの、姉のことを何も知らない自分に
気づく。
何のために姉は、火災現場の怪しいローン会社に出入りしていたのか?
更に、姉は昨日婚姻届を出し、前科1犯の男と結婚したばかりで、
夫となった男は姿を消していることがわかる…彼はどこに? 

警察より早く、切実に、姉の真実を追うべく、姉をめぐる人々を探し
歩き続ける僕が見つけたのは、不器用すぎる生き方しか
選べなかった一人の女の姿だった。姉さん、もしも、僕があの時…

赤いカバーと潔いタイトルから、ストレートな恋愛小説をイメージして
しまいそうになるけれど、物語は蛇行して進む。
姉の人生は、けっしてまっすぐで平坦ではなかったことが次第に
明らかになり、自分は姉を救えたのだろうか、と苦しむ主人公の
意外な「秘密」も物語の終盤を盛り上げる。
恋愛小説というよりは、ミステリーとして読んで、最後に「壮絶な
愛の物語でもあったな」と余韻でちょっと思うくらいがちょうどいい。
1度読み始めると「僕」と一緒に「姉が何をしてたのか」がやたら
気になって、一気に読んでしまう1冊でした(徹夜しました)。

姉のキャラの好き嫌いで、この本についての採点、だいぶ違うと思います。
ベタドラマやベタ小説が大好きな私は、やはり、親を幼いうちに喪い
苦労した女の子っていうのはけなげに苦しい目にあいながらもひたむきで
最後に幸せになってほしい、と思っちゃうのですが(要はシンデレラの
バリエーションみたいな話が好みなんだなたぶん)、このお姉さんは
けなげというか、勝ち気で正義感が強く、人のケンカも仲裁しちゃうし、
という、たくましい女性。そしてだめんずっぽくもある男遍歴も次第に
明らかになって行き…「嫌われ松子」を男勝りにしたようなヒロイン像は
新鮮ではあったけど、切なくて複雑な愛の物語を担うには力不足の感も。

というわけで、売りは恋愛小説っぽさなんだと思いますが、姉の軌跡を追う
ミステリーとしてさらっと読むのにちょうどいい本だと思います。
蛇行しつつも物語りはどんどん前に進んでいくので、旅行に行くときの
乗り物とかで集中して一気に読むと迫力あっていいかも。

しかし「最愛」と聞いて一瞬で柏原芳恵の歌(たしか中島みゆき作)のほうを
思い出す私は昭和の女。
by tohko_h | 2007-01-23 17:34 | reading