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「編集者という病い」 見城徹

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「編集者という病い」
見城徹
(太田出版)
僕はこうやって生きてきた――
出版界に大旋風を巻き起こす
見城徹(幻冬舎社長)の仕事・人生の総決算の書。

「顰蹙は金を出してでも買え!」「薄氷を
薄くして踏み抜け」など過激なスローガンを掲げて見城徹が創立した幻冬舎は、
驚異的成長を続け、沈滞する文芸出版界に強烈な衝撃を与え続けている。
その総帥の著者が、半生の生き方と仕事の仕方を振り返り、七転八倒と感動と苦悩の日々を惜しみなく書き綴った類希な人生の書。勇気と感動、悲惨と栄光、この本には人
間の情動のすべてが詰め込まれている。(版元WEBより)


日本一有名な編集者のひとりであることは間違いない、見城氏の
編集としての生き様を、インタビュー、本の解説、連載、エッセイ、
などなど、今まであちこちで書かれたり語られたりした文章を集めて
浮き彫りにした1冊。華麗な交友ぶりにため息をつきながら、
こうして原稿をとり、ベストセラーを出しました、という武勇伝として
読むと(いちいち売った部数をきちんと書いているところはさすが)
なかなか面白い。尾崎豊、ユーミン、坂本龍一などの音楽畑の人たち
との交友、銀色夏生の不思議ちゃんぶり、村上龍、石原慎太郎、
五木寛之、などなどの作家たちとのやりとりなど、下手なドラマを
見ているよりハマる。
そんなエネルギッシュにいろいろなクリエイターと一緒に本を
作り上げてきた見城氏の原動力が、コンプレックス、というのも
興味深かった。
よく、アーティストが「もてたくてギター弾けるようになった」って
言ってたりするけど、見城さんも、もてたくて(実際、仕事で成果を
あげて、好きな女性に「素敵」と言われるとつかのまの充足を覚える
とおっしゃってました)やってるのかな、と良い意味で思いました。

やはり、尾崎豊との長い長い物語は、壮絶。尾崎ファンじゃなくても
引きこまれてしまった。
あと、女性の書き手についての描写があまり多くないのが少し残念。
ユーミンとか銀色さんとかさらりと出てきますが…あと、ちょっと
ケンカした林真理子さんのことが少し出てきたくらいで。男性作家との
エピソードはかなり細かく語ってるのに対して女性作家については
名前をなぞるくらいで…女性作家との仕事だともっと苦戦してるのか
本には書けないようなもっと壮絶なやりとりがあるのか(ヘンな意味じゃ
もちろんなくて)とか、ちょっと気になったり。

自分としてはどうして「病」じゃなくて「病い」にしたのかが、気になる・・・
by tohko_h | 2007-02-26 21:18 | reading