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「小袖日記」 柴田よしき

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「小袖日記」 柴田よしき
社内不倫で大失恋した29歳のヒロインは「もう死んでやる!」と自暴自棄モードで
夜中の公園をウロウロしていた。
今なら誰かに刺されても惜しくないや。とやさぐれて。
しかし、彼女を襲ったのは変質者でも
痴漢でもなく、落雷。しかも、頭を直撃。

目覚めると、そこは、病室、ではなく、
オカメみたいな下ぶくれの和服軍団と
お香の香りが立ち込める…しかも、
水鏡に映した自分の顔も立派に白塗りオカメ!!
何これ? 欧米平安か!!
どうやら、この時代を生きていた女房と、平成を生きる自分の魂が
なぜか時を越えて入れ替わっちゃったらしい。入れ替わりの相手は、
数えで17歳のピチピチの小袖という娘だった。小袖は、
当代一の人気作家「紫式部」のネタ担当。取材&インタビューをして
執筆する香子さまに伝えるという大事な役目があるらしい。授業とマンガで
途切れ途切れに得ていた知識をもとに、ホントは平成のOLだった「小袖」は
葵上、末摘花、明石の君、夕顔などのモデルとなる女性たちに接近。
そこには、「源氏物語」にも書かれていなかったヒミツのエピソードがいっぱい!

というわけで、紫式部の情報屋と入れ替わってしまったヒロインが「この時代の
女の人って…」と呆れたり戸惑いながらも、たくましく順応して、いろいろな
真実に迫る、源氏で上手にパロディっぽく遊んでるライトミステリーという感じ。

昔、コバルト文庫の氷室冴子さんの平安モノ(「なんて素敵にジャパネスク」とか
「ざ・ちぇんじ!」とか)にハマったことがある人なら、間違いなく楽しく読めるはず。
そして、タイムトリップもののお約束「主人公はもといた時代に戻れるのか?」
「戻ったとして、トリップ前より幸せになったり成長してたりするのか?」という点でも
爽やかなエンディングになっていると思います。
正直、主人公が平安時代に飛ばされるまでのモノローグは、不倫相手の奥さんの
悪口とか、かなりわがままで自分勝手で「こんな女の人が主人公かー」と
ちょっとイヤンな感じだったんですが、そのわがままでオトナゲない彼女が
小袖となって、いろいろな平安時代の、思い通りに生きたくてもそれが
難しかった女性たちと話をすることによって自分を見つめなおしていく、という
のちのちの展開のために最初はアホっぽい設定にしたのだと思われます。
なので、公園で雷に打たれるまではちょっとしんどいかもしれませんが、
そこから先は、大胆に解釈した源氏物語の真相に「なるほど!」とわくわくしてくる
はずです。
by tohko_h | 2007-04-26 02:32 | reading