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「神田川デイズ」豊島ミホ

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「神田川デイズ」豊島ミホ
(角川書店)
「野生時代」に隔月連載されていた
大学生小説が1冊にまとまりました。
豊島さんは、本来だったら
青春モノの主人公になりえない
「教室の隅にいるいろんな意味で
平均いくかどうか際どい」という
マイナーっぽい男の子や女の子の
青春にスポットライトを当てるのが
達者な作家さんだと思う。
なので、豊島作品を読んでいて
「わかるよ!」とあまりにも大きく頷いてしまってから
「…きょ、共感したくなかった」とちょっとへこんでみたり。

今回の作品集も、神田川のそばの私立大学を舞台に、そういう
「わかりたくないんだけどなんかわかっちゃうんだよなー」という
輝きもときめきも中途半端、あるいはくすみっぱなしな大学生活を
送る学生たちが主人公だ。章ごとに主人公は変わるけど
おなじ教室に次の章のメインキャラがいたり、ちょっとずつ
繋がっている、という構成。

◎貧乏アパートでうだうだしている男子3人組は、キャンパスで
人目を惹くためにある暴挙を思いつく。彼らのユニット名は
「童貞メガネーズ」。笑わせるのではなく笑われる覚悟で
皆の前に立った3人はどうする?コントなんてできるのか?

◎地方出身の女の子。地元では優等生としてそれなりに
やってこれたけど、東京の大学では友達も出来ず一人ぼっち。
しかし、ある日素敵な先輩と出会い、そのサークルに出入り
することに。「不戦をうったえる会」だなんてちょっとヤバそう?

◎サークルのかわいい女の子を軽く飲み会で口説き、気楽な
男子大学生としてスタートを切った男の子。もう失敗は
しない。高校時代のあの日みたいに、友達以上の女の子を前に
何も出来ずに終わった、気弱な俺には、戻りたくないから…

◎映画サークルに入った女子3人組。先輩たちの「映画ごっこ」みたいな
ぬるい感じに幻滅して「あたしたちだけは本気!」と独立。
監督志望、女優志望、そしてシナリオ志望の3人が取り組むことに
したのは「ジョゼ虎」(映画「ジョゼと虎と魚たち」。妻夫木くんの
ラブシーンが話題に。見てませんが)みたいに、見ていて
ドキドキする女の子向けのエッチな映画!

◎地味な留年女子というひけ目から、黙々と授業に出席していた
女の子。だけど、あるきっかけから、クラスメートたちに
興味を抱き、軽い気持ちでコンパに参加してみることに。
梅酒スペシャルって何? と、何かを期待していたけれど…

◎19歳の時に小説で賞を取ってデビューしたけれど売れない俺。
そろそろ作家には見切りをつけて、就職活動するしかないか。と
あきらめモードで迎えた最後の学年。いとこの元気な女の子との
だらだらしたやりとりも焦燥感をあおるようで・・・

というお話です。うだうだした学生が出てきて「これじゃやばい」と
それぞれが考えたり動いたりする、というパターンの繰り返し。
心地よく思うかだんだん飽きてくるかで、この本の好き嫌いは
変わってきそうです(私は最初の3分の1くらいで飽きてきた(笑))。
うだうだしてるところの描写はリアルで丁寧なんだけど、そこから
動き出したり、逆切れ気味にひらきなおって「ようし!」となるところで
失速してる感じで、物語の勢いが減速してしまってる印象。
もったいない。

(自分メモ)
来週は三浦しをんウィーク☆

5月21日『あやつられ文楽鑑賞』(ポプラ社)←文楽エッセイ
5月22日『きみはポラリス』(新潮社)←恋愛小説
by tohko_h | 2007-05-15 08:51 | reading