人気ブログランキング |

「がらくた」 江國香織

a0079948_16514787.jpg
江國香織さんの新刊、「がらくた」
読みました。
お金持ちの老婦人・桐子&その
娘の柊子(40代。既婚・子ども無し)
と、
建築家の父親(やはり40~50代?)と
帰国子女で美しい娘(15歳)。
2組の親子が、旅先のリゾート地で
偶然出会った。
同じホテルに滞在していて、互いの
テーブルにシャンパンやワインを
おごりあったりしているうちに、
親しくなっていく。
そして旅が終わり、彼らは普段暮らしている場所(東京)で会うようになる。
テレビ局に勤める柊子の夫も加わって、人間関係の糸が少しずつ
もつれていくが…というお話。
人間関係の糸がもつれて、というと、ドロドロなお話みたいですが、
もつれても、もつれても、ドロドロせずに静かなまま物語は続きます。
たとえば「この人と寝るのって道義的には無しでしょ」みたいな相手と
セックスしても、葛藤したりしないのがこの物語の登場人物たちの特徴です。
その場の気分で気に入った人と距離をつめていく。ある意味直球な人たち。
だけどそうやって結びついていく人間関係は、すぐに解ける
ちょうちょむすびのようにすぐにほどけそうなあやうい感じがする。
誰も、それを固い絆にしたいなんてはなから望んでいないからだと
思うんだけど…
そのふわふわ、ふらふらした感じがなんとも不安定で読んでいると
酔いそうだ。あんまり良くないお酒を飲んだときみたいな
「やばいなーこれ」という感じの酔い方で。

私個人は、例えば不倫を描くお話なら「いけないことをしてしまった」と
分かりやすくもがいたりする人間くさいお話のほうが好みなので、
この無味無臭な感じは、ある意味ホラー小説みたいで不気味にさえ
感じました。でも、その硬質で透明感があって静かな展開の中に潜む
情熱の火種みたいなものを抱えているからこその沈黙なのかも、これって。
そうかんがえると、この頼りなく危うい感じがとても魅力的なのかも。

ちなみに「江國」とタイピングするとき、どうしますか?
江、はふつうに「え」と打ち込んで変換ですが、問題は國。
ふつうに「くに」では出てこない・・・
私は「國男」(くにお)と入力してから「男」を消してます。
by tohko_h | 2007-06-01 08:51 | reading