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「レインレイン・ボウ」加納朋子

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「レインレイン・ボウ」 加納朋子
可愛らしい装丁に可愛らしいタイトル。
一見、一昔前の少女小説風な雰囲気。
内容も、そういう「古きよき時代の
女の子の読みもの」みたいな
柔らかな雰囲気。
ミステリー連作だけど、けっして
2時間ドラマ風ではなく、
どちらかというと、少女漫画的。
唯川恵とか、普通の女の人が
揺れ惑う系小説が好きな人にも
読みやすいミステリー。


高校のソフトボール部の仲間・チーズこと知寿子(ちづこ)が突然死んだ。
まだ20代の半ば、仕事も人生もこれから面白くなるところだったのに…
彼女のお通夜に、高校時代女子ソフトボール部で一緒だった面々が始まる。
専業主婦、キャリアウーマン、保母、調理師…それぞれの場で
別の生き方をしていた彼女たちの会話はぎこちない。だけど、
それぞれ、高校時代の思い出をよみがえらせ、どうしてあんなに
明るくて活発だった知寿子が死んだのか思いを馳せる…
そして、ひとつの謎が。
誰よりも知寿子を好きだったはずの里穂が弔問に来ていない。
そして、里穂の消息が途切れる…

知寿子の死と里穂の失踪の謎、という縦糸に、それぞれの
元ソフト部員たちの日常の小さなミステリーが横糸として
絡まって、見事な虹色のタペストリーのように1枚の絵として
最終章で完成する。見事な構成。
個人的には、その横糸の部分…それぞれの章の主人公たちの
日常ミステリーの部分のほうがより面白く感じた。
それぞれの職場が主な舞台になっているので、編集者、調理師、
保母など、様々な仕事の場面が出てきて興味深かった。
特に「誰が栄養士として派遣されてもすぐやめちゃう」、
いわくありげな商社の社員食堂に管理栄養士として赴く由美子の
社食改革の章は、単独で読んでも痛快でした。
編集者になった人の章は、やっぱりなんか意地悪でかわいげない
キャリアウーマン風に描かれていて(専業の友達と話が食い違ったり
発言が上目線だったり)なんだかイヤンな感じだったけど(苦笑)。

というわけで、血なまぐさくない読後感のよいライトミステリーとして
なかなか楽しく読める1冊。1章1日読めば1週間でちょうど読めるので
通勤のお供にもいいかもです。
by tohko_h | 2007-07-17 15:36 | reading