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「楽園」 (上)(下) 宮部みゆき

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「楽園」(上)(下)
宮部みゆき
「模倣犯」から9年後・・・あのとき、連続殺人犯を追い詰めた
フリーライター・前畑滋子のもとに飛び込んできた、
2組の親子をめぐる事件のせつない真相とは?
戦慄の事実、衝撃の真実、そして・・・


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と、それっぽくあおった書き方になってしまいましたが、
宮部みゆきさんの「模倣犯」で張り切っていたライターの
滋子の再登場から物語は始まります。「模倣犯」で描かれた
連続殺人事件は、マスコミを振り回して世間を煽った
劇場型犯罪であり、滋子自身もメディアを使って真犯人を
追い詰めたという経緯上、一時「時の人」となり、そのわずらわしさ
から逃れるように、一時、仕事をお休みしていたりもしました。
そして、現在は、編集プロダクションでタウン誌の仕事をしつつ、という
ゆったりとしたペースで仕事をしていたのです。ところが、知りあいの
編集者に紹介された頼子という中年女性との出会いが、ある事件取材に
滋子をのめりこませていくことになります。

この前の火事で、焼けた家の床下から、その家の長女の遺体が
発見された。15年以上前に失踪届けが出されていたその娘・茜…
実際は、両親が殺害して床下に埋めて隠していたことが判ります。
しかし、殺人の時効は切れており、犯人である両親は家を離れて
どこかに姿を消した。

その事件が発覚する前に、頼子の息子は、遺体が埋まっていたのが
見えていた、という。頼子が滋子に見せたスケッチブックには確かに、
特徴的な風見鶏が屋根についた家(それは、遺体が発見された家の屋根に
ついていたものとそっくりだった)と、
灰色に塗りつぶされた少女が眠っている絵が描かれていた…

これは、頼子の息子・等が超能力の持ち主だったというしるしなのか、
それとも、どこかで、この家で娘が殺され、隠されていたことを
聞いて知っていたということなのか…

等に聞いて確かめたくても、等は、交通事故で既に死んでおり、
それだからこそ母親の頼子は、息子のことを知りたい、と、
滋子のところに絵を持ってやってきたのだった…

というオープニングから始まる物語。「模倣犯」では、ちょっと
張り切りすぎでウザいところもあった滋子ですが、今回は、清濁あわせ飲み、
というか、体当たりばかりではなく、裏をかくような取材をしたりもして、
なかなか巧みに調査を進めるので、物語の運びに緊張感がありました。
宮部作品の欠点「大風呂敷が大きすぎる」「登場人物が多すぎて、
たいしたことない脇役までしっかり描きこみすぎ」(それが好き、という
人もいるとは思いますが、私にはだらだらとテンポが悪くなっているように
感じる)というのが今回はあまりなく、生前の等の謎と、殺された茜が
どんな少女だったのか、が浮かび上がってきて、その両者が…と
すっきりとしたプロットになっています。
正直「模倣犯」はあまり好きではなかったのですが、これは、なかなか
面白くて一気に読みました。土日に読もうと思ってとっておいたのに~!!

「模倣犯」の続編ではないのですが、作中、ちらちらと、そちらで描かれた
事件の関係者の名前やエピソード、滋子の回想が出てくるので、
未読の方は、「楽園」の前後に(こっちを先に読んで「9年前の事件って!?」と
思いつつ「模倣犯」を読んでも良いと思う)あわせてぜひ。こちらは
とにかく長くて登場人物も多いので、ホント時間かかります(私は
出だしがつまらなくて、最初の10ページに1週間かかりました)。

「模倣犯」好きじゃない私がかなりハマったので、「模倣犯」ファンならもっと
楽しく読めると思います!!
by tohko_h | 2007-08-03 23:35 | reading