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「リリイの籠」豊島ミホ

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「リリイの籠」 豊島ミホ
ある女子高を舞台にした
オムニバス短編集。
退屈をもてあましていた
ある美術部員は、
ふと見かけた隣のクラスの
美少女をモデルとして
強く求めるようになる。
不器用な教師は、派手系の
教え子に翻弄される。
その教師の妹が、教育実習生
として やってくる。周りに少し
もてあまされる美少女は、
愛嬌だけがウリの 「女子にはモテる」なれなれしい女の子と
ミスマッチなバランスなのにいつのまにか親友っぽくなるし、
クラスのアウトローの金髪の少女を友達に選んだ平凡なある女子は、
転校のように 卒業すれば終わる縁だからまあいいや、と思っている…

女子高ものらしい華やかなお嬢さんぽさやドロドロの濃密な人間関係の話では
ないんだけど、 淡々と地味な中に、女の子はここまで女の子を好きに
なっちゃうんだ、とか、 こうやって見下す瞬間があるんだ、とか、
友達同士の思惑ってこんなものか、 みたいな、同性同士の心理戦にも似た
緊張感あふれる関係が丁寧に描かれていて 女子高出身じゃない私も
ドキドキしてしまった。装丁やタイトルは可愛らしいけれど、
手ごわい1冊である。自分が女友達にしたこと、されたことなんて、ふと
反省したり思い出して赤面したり凹んだりする人も少なくないかも。
「イチゴとクマ」という、美少女と不器量で明るい少女の友情が、
不器量なほうに彼氏ができたことで壊れていく短編は残酷。
私自身、学生時代「○○ちゃんが大好き!」といわれつつずっと
小馬鹿にされていた(お笑い扱い)こととかがあるので、近くにいて
見下し続ける、という側の気持ちを知りたかったので、読んでいて
むかむかするけど読みました。

ここからは完全にワタクシごとなのですが、そういう人に「そうやって
言われるのいやなのー!」と言うと、本人や周囲に「あなたは
細かいところ気にしすぎ!」つまり、気にするほうが悪いんだ、と叱られたり
責められたりしてたのですね。なので「気にしすぎる自分の性格」って
いうのは凄くいけないことだと思ってました。少なくとも友人に歓迎される
性格ではないのねーと。しかし、つい先日、あることについて、
「私がもしかしたら気にしちゃってるんじゃないか」と心配して
(実は全然そんなことはなくて大丈夫だったんだけど)
メールをくれた心優しいお友達がこう書いてくれたんです。
「あなたは気にし屋さんだから心配よ!」と。
いままで「気にするのは悪い」と責められる事はあっても、
心配されたことってなかったなーって、そのメールが涙で
にじみそうになりました。長年のコンプレックスがすっきり
しちゃったんです。ほんと、こういうのってありがたいと思う。
外から押し付けられたコンプレックスって、自分の気の持ちよう
だけだと解消できないんだよね。他の誰かが「それはいいんだよー」
と肯定してくれて救われるものなんだなーってつくづく思いました。
もちろん、肯定してもらって励ましてもらって、という事実が
あっただけじゃなくて、その人の人間性をこちらも好きで尊敬してる
からこそ、そうなったんだと思うけどね。
こんなことも含めて、女友達っていいものです。と思えるように
なったのは実は20代後半からかも。と、小説の中で
ティーンの少女たちがもがいているのを見て、ちょっと上目線に
思ったりもしました。こういう道をそれぞれが自分なりにクリアして
きてるからなのかもしれないね。

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さんぽん
女子高ものといえば三浦しをんの「秘密の花園」も微妙に友達だけど
上下関係みたいなのがあって静かに酷くてお勧め。同性愛っぽい、
という意味だと、巷では「マリア様が見てる」なんだろうけど、
志村貴子の「青い花」が個人的にはもっとも気になるところです。
と漫画の話になっちゃったついでに、神戸の美人を書いたらピカいちの
西村しのぶの「美紅・舞子」は、舞台は共学の学校なんだけど、
大人びて見える美紅とアイドルっぽくふんわりしている舞子の
一見あわなさそうなのにお互いに認め合ってる男前な友情っぷりが
好きです。
by tohko_h | 2007-12-20 23:08 | reading