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「香菜里屋を知っていますか」北森鴻

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「香菜里屋を知っていますか」 
北森鴻
三軒茶屋の路地の突き当たりにある
ビアバー「香菜里屋」。
カウンターの中からいつでも
美味しい料理と酒、そして客たちの
会話から浮かび上がるミステリーの
謎解きの鍵をそっと差し出してきた
マスター・工藤の温和さに、今宵も
集まってくる人々はホッと気をゆるめて…
「花の下にて春死なむ」「桜宵」「蛍坂」と
続いてきた連作の完結編。


今までは、客たちの抱えている謎を解いたり悩みを少し軽く
してあげたり、と、主人公というよりは語り手であり、サポーター
として物語を支えてきた工藤だが、ラスト1冊の本書では、
彼自身の物語が初めて語られる。店を開く前の過去のある事件、
そして店名の由来になっている「香菜」という女性との出来事…
しかし、それらが描かれることによって今までやさしくぼんやりと
していた工藤の輪郭がはっきりと浮かび上がるような終わり方では
なく、かえって、消化不良をおこしてしまったような(要は、まだ
語られてない真実がありそう…みたいな含みをもたせたまま、
このシリーズのエンディングを迎えてしまうのだ)感じがした。
もともと、ミステリーとして読むとこのシリーズ、割と
「消化不良な感じ」が残る謎解きもいくつかあったのだが、
それでも店で出されるビールや料理の描写がおいしそうなので
読み続けてきたのだけど…最後には、工藤自体が自分の人生最大の
謎を全部明らかにして大団円、みたいな判り易い終わり方でも
よかったのに。と、一番食べたかった特別料理が売り切れで残念、
みたいな物足りなさが残った。お店の雰囲気、常連たちの会話など
実際にどこかにこんなお店ありそう、あったら楽しいかも、という
ところは大好きでしたが。誰か料理研究家の人にお願いしてぜひ
レシピ集を作って欲しいところです。

定価1680円(税込)→自分的プライス1260円(75%)
本そのものが薄いので、この定価は高いな、と単純に思いました(笑)。
部数を抑えたのかな。

…って、これもしかして今年初のブログにアップした本ネタかも?
実は色々年末年始と読んでいたのですが、もう、レビューするのも
イヤンな壁本祭りに、自分の選本眼を信じられなくなり、しばらく
漫画とVOWばかり読んでいたりしたのです(笑)。そこに
友達の自費出版小説(礼儀として感想メールと本をもらったお礼を
書かねばならないと思いつつ気が重くて何も書けていない)が
来たりして、読書とは遠い日々を送っていたのです。
まあ、ネットでついつい府知事選挙関連の記事とか読みふけってた、
ってのも、多少…いや、かなりあるけど(笑)。

というわけで、久々に普通に本が読めたのでレビュー書いてみましたが、
本の紹介の仕方をすっかり忘れてる!←仕事的にもマズい(汗!)
しばらくはリハビリモードってことで、私の本の紹介そのものが
かなり消化不良気味ですが(なんかサクサクしてないんだな我ながら)
生ぬるく見逃しといてください(汗)。弁解オワリ。
by tohko_h | 2008-01-22 23:10 | reading