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「5年3組リョウタ組」 石田衣良

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「5年3組リョウタ組」 石田衣良
石田衣良初の新聞連載小説。
教師生活4年目の中道良太は、
茶髪にネックレス、と、外見は
いまどきの青年風でありながら、
涙もろくて熱血でまっすぐで、
自分を丸ごと出して人に
ぶつかっていくことを恐れない。
そんな「いいヤツ」の良太が、
ひとりの教師として、人間として、
児童や、児童の家族、そして
学校内の人たちにも真正面から向き合う姿は、愚直なほど
清々しくて、潔い。

そんな良太がある公立小学校の5年生の担任として頑張る話だが、
周囲の同僚教師も個性的だし、生徒も「優等生はいい子で
落ちこぼれは実はさみしがりやで」みたいなワンパターンに
当てはまらない、それぞれの個性を持っている手ごわい子供たち。
誰に対しても無防備に自分をさらしてぶつかっていく良太の
やりかたは、自分も傷つくリスクを恐れないという意味で、
とても勇敢だと思う。その直球ぶりにあこがれるエリート先生や
気弱で登校拒否をしてしまった先生など、先生たちもそれぞれ
ひとりの人間としてビビッドに描かれている。あとがきで石田さん自身が
「新聞小説の依頼を受けて、僕がかねてから漱石の作品の中で
一番抜け感がいい!と思った「坊ちゃん」みたいなものを
書きたいと思った」みたいに書いていたんだけど、その試みは
なかなか愉快で気持ちのよい小説として成功したと思う。

本当に器用で色々なタイプの作品を描き分ける石田さんですが、
個人的には、彼は凄くまっとうで健やかな精神の人だなーという
印象なので(テレビでのコメンテーターとしてのコメントを聞いても
エッセイなどを読んでも)、こういう爽やか系小説がイヤミなく
ハマってるなーと思いました。恋愛モノとかになるとちょっと
暑苦しいときもあるんですが、温かみと律儀さのある文章が
この小説にはぴったりでした。

定価1680円(税込)→自分的プライス1680円(税込)
ハードカバーで買っても悔いは無かったかな。近いうちに
ドラマ化するんじゃないかしら。と、25歳くらいで熱血の似合う
若手の俳優さんをちょっと考えてしまいました。

※すっごく余談ですが、この本の装丁、佐藤多佳子の「一瞬の風になれ」
とそっくり!と思うのは私だけかしら? 結構注目の学校ものってことで
書店で近いところに並んでたりすると一瞬びっくりしちゃいます。
by tohko_h | 2008-02-23 23:32 | reading