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「年下の男の子」 五十嵐貴久

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「年下の男の子」 五十嵐貴久
ヒロイン、37歳。
最近買ったもの、マンション。
恋人いない歴、4年。
ある日、取引相手の23歳男子と
一緒に、仕事のトラブルに
巻き込まれたことをきっかけに、
妙に話が合うし楽しい間柄に!?


ファッションの世界に流行色とかデザインがあるように
もしかしたら恋愛の世界では「年齢差」が今年はブーム?
ちょうど、堺正章さんが25歳年下の女性に恋してしまう
ドラマなんかもやってるし・・・ちょっと前だけど、篠原涼子さんと
カツーンの赤西くんの「anego」なんてドラマもヒットしてましたね。
アラフォードラマの中で、天海さんと藤木くんも年の差を越えて
なんだかくっついちゃいそうだし・・・「きみはペット」って漫画も
ありましたね、年齢と社会的地位の格差がある男女が同居してた。

年齢差恋愛って、性別にもかかわらず、より切ないのは年上の方、
というのが相場みたい。
それは、相手が自分より、より「違う相手と付き合う可能性」を多く
持っているのに、自分でいいのか?と考えてしまうからかも。
もちろん、世間体とか、その他もろもろの問題もあるんだけど。
経験値が高いほうが、色々考えるところがあるのは当然かと。
ほら、「ガラスの仮面」の真澄さんも、何かっていうと
「11歳も年下のチビちゃんに・・・」って白目になってるよね。

しかも、この小説のヒロインは、小柳ルミ子みたいに「年下の子の
ために頑張ったのに~」と逆ギレしちゃうような分別の無い女性では
ないのだ。普通の、大企業に勤め、仕事もかなり出来る、経済的にも
精神的にも自立した大人の女性である。親もまだ元気だし、弟が
さっさとできちゃった結婚してしまったせいもあって、結婚とか出産を
せかされることもなく、甥っ子にゲームを買ってあげて会ったときに
たくさんかわいがってあげるくらいで充分満足。公庫の審査もあっさり
パスして、会社の住宅基金積み立ても利用して、新築マンションを購入。

実際にドラマや漫画や小説の30代女性って、やたらと悪あがきしてる
大変そうな世代として描かれがちだけど、実際はこのヒロインみたいに
きちんと年齢相応にステップアップして落ち着いている女性もたくさん
いるはず。そんな落ち着いた彼女を振り回す14歳年下の青年。
彼の素直なかわいさ、いいなーと思いつつブレーキをかけたり、
逃げ道を用意しないと向き合えないヒロインの不器用さ、そして、
大人ならではのずるさに共感。

相手が年下じゃないにしても、例えば既婚者、とか、例えば普通の片思い、
にしても、自分に自信がなくて、臆病に、慎重に、そしてやや悲観的な
恋愛傾向に陥ってしまう人って少なくないと思う。そういう点で、
年下の男子を35年間好きになったことが無い(高校球児かわいいー
とかは別として(笑))私ですが、共感できるところが多い1冊だった。

五十嵐さんのクセの無い文章や自然なストーリー運びも手伝って
等身大の大人が恋愛をしているところがちゃんと描かれていると思う。

現在私と同年代の女優さん(松嶋菜々子、篠原涼子、宮沢りえなど)が
主演でドラマ化される可能性も結構ありそうな予感。若手男子は
ジャニーズでいくらでも調達できそうだし。
個人的には、ヒロインが石田ゆり子か深津さんで、年下の男の子は、最近
マイブームの錦戸くんだったら絶対観る(笑)。
by tohko_h | 2008-05-21 00:22 | reading