「私という運命について」白石一文
2008年 09月 27日「私という運命について」白石一文
ある女性の29歳から40歳までの激動の、
自分に誠実に生きた人生を描いた作品。
恋愛、結婚、別離、挫折、死…ヒロインと
周囲の人たちの人生はそれぞれに厳しく
激しい。が、その中で、傷つきながらも、
自分の運命だと受け入れた上で、きちんと
消化して前に進んでいく力強さが感じられ、
最近落ち込みがちだったのだけど読んで
よかったと思った。
作中、主人公の弟がある悲しい出来事を経て心が壊れて死に掛けて
しまうような危機に面して、そこからある方法で立ち直る、という描写が
あって、以前(3年くらい前に単行本で発売されてたとき。今回は
文庫版で読み直しました)読んだときは「えーそんな風にうまく
収まるかなあ」と思ったんだけど、今回は、魂が救われて立ち直れて
よかったな、と思ったりした。また、ラストシーンで落涙したのは前回も
今回も一緒だったけど、他にグっときた部分が、以前とはぜんぜん
違っていたのでびっくり。
3年サイクルくらいで読み返すと、そのたびに違った発見がありそうな1冊。
ただ、主人公たちは皆高学歴で一流の企業に進み、健康で皆、経済的にも
愛情面でも、割と恵まれた人たちが多い。そういうレベルで彼らは
挫折してないので、自分が本当にどん底のときに読んだら「贅沢ものめ!」って
反発を覚えるときもあるかもしれない(笑)。
久々に、読書してて涙ぐみました。