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「書店員の恋」 梅田みか

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「書店員の恋」
梅田みか
本と書店を愛する翔子(26歳)は
大手チェーン系書店の渋谷店で働く
真面目な女の子。ある日突然
文芸チーフに抜擢され戸惑うが、
気合いが入る。ところが、最初の大仕事が
「ケータイ小説フェア」と聞いて絶句。
普段、大量に仕入れられるそれらの本を
「ほかに若い人に読んで欲しい本は
あるのに…」と思ってたんだけど…


私の生活にも欠かせない書店を舞台にしたお仕事ヒロインもの、
ということで読んでみました。本としての仕掛けはおもしろい。
巻頭についている登場人物の相関図(テレビドラマのサイト
みたいにちゃんとついててびっくり!)には、それぞれの
キャラクターの名前や年齢とともに、好きな本のタイトルが
書いてある。ギャルっぽい、ヒロインのイトコだったら「恋空」とか(笑)。

でも、小説としてはどうだろー。
だいたい、お仕事モノのヒロインの彼氏って仕事の足を
ひっぱるようなタイプだったり、自分は大した仕事してなくて
彼女の活躍に対して「女が頑張ってどーする」的苦言を言う
バカ男だったり、ろくなのが出てこないんですよねー。
働きマンのサラリーマンの彼氏とかもどっちかっていうと
そんなだったし、プラダを着た悪魔のヒロインの出世についても
彼氏はすごく冷ややかだったし。これも例にもれず、シェフを
夢見つつファミレスのバイトでお茶を2年も濁していて(別に
ファミレスで頑張りたいと思えばいいんだけど、納得できぬまま
だらだら転職活動をしてる気配もなく)、彼女が仕事関係の
飲み会や打ち合わせにハマったときにあんまり理解してくれないタイプ
でした。たまには「彼は理解してくれるけど、でも、私つらい!」
みたいなパターンがあってもいいと思うんだけど。

ああ、でも、結構同年代の男の人と話してて、面と向かって
「いつ仕事やめるの?」「そろそろって旦那も言わない?」「正直、
友人だからいいけど、おれの奥さんだったら、フルタイムで編集者って
いうのはちょっと無理」みたいに言われたことあるなあ、私も。
現実の男の人の中には、まだまだ「嫁さんや彼女が男女関係なく
普通に労働している状態」に戸惑いを感じる人も少なくないのかも。

なんて、実は私が毎日会社通いをしていることにいまだに戸惑ってる
部分もあるんですけどね(苦笑)。
母親はバリバリ専業だったし、自分もそうなるつもりだったし・・・
(今の仕事じゃなかったら、そして結婚相手が違う人だったら
やめてたかもと思う)。
朝から会議だわーやだわーなんて日に、同じマンションのエレベーターで
同世代の女性とすれ違うときなんて、ちょっと考えちゃうのも事実。
こちらはエレベーターを降りて、長い1日が始まる。
すれ違う相手は、ゴミ出しして新聞を手に部屋に戻り、家の中で
仕事をする1日が始まる。
優劣とかじゃなくて、ああ、遠いなあって。

しかし、ヒロインが仕事に対して恋してるように、私もたぶん、腐れ縁の
彼氏みたいに「たまにホントに顔も見たくないけど、別れたらやってけない」
みたいな感じで仕事のことも好きなんだと思う。

さて。もうひとつ。
ヒロイン同様、私も、ケータイ小説? あの横書きポエムを
小説と呼ぶなんてさー、けっ、と思ってたクチなんですが、
先日、瀬戸内寂聴さんが、86歳にして人生初のケータイ小説に
「ぱーぷる」とペンネームを使ってチャレンジしてたというニュースを
読んで、ああ、私はまだまだ硬いなあ未熟だわ、と反省しました。
「ケータイ小説は日本の文学を悪くすると言われていますが、
読まれているのには理由があるはず。なぜ読まれるのか
知りたくて書いてみた」ということでチャレンジし、慣れない若者言葉での
執筆に苦労しつつも、新しいことができる喜びにわくわくしたという
瀬戸内さんのしなやかさ、本当に偉大です。
by tohko_h | 2008-11-12 12:35 | reading