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「雪白の月」 碧野圭

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「雪白の月」
碧野圭
「辞めない理由」「ブックストア・ウォーズ」
働く女性ものを2冊書いてきた
碧野圭さんの3冊目は、新境地狙
い?の恋愛もの。舞台は飯田橋に
ある某大手出版社、42歳の
書籍編集者の人妻と、35歳の
営業マンの禁断の社内恋愛…
といった感じでしょうか。


お目にかかったこともない人のことをああだこうだというのもなんだけど
2作読んできたうえでの著者のイメージは、体育会系入ってて優等生タイプ。
まがったことが嫌いでまじめな女性といった感じ(昔はブログやってたけど
今はそういうのないみたい)。そのよい意味での硬さや熱さが、女性が
頑張るお仕事モノの書き手としてはよい風に作用してたと思うんだけど
恋愛モノになると、なんだか、まじめな友達のエロ話を聞いているような
読んでるほうがこっぱずかしくなるようななんとも居心地の悪い感じ。

ずるずると押しの強い相手に押されていくヒロイン、というのを描いて
いく過程でも、その堕ちてく感があまりないんですよねー。そういう
真面目な姿勢で、古典的なメロドラマっぽい不倫劇を描いてるから
なんだかちぐはぐな印象を持ちました。あと、文芸編集の世界ってよく
わかんないんだけど、恋敵役の小説家のパワハラと、それを
見て見ぬふりをする出版社、というクサれ具合も、実際どうかは
さておき、読者は「ええー、これはひどすぎるでしょ」と読んでいて
ヒク気がします。

個人的に不倫小説で一番つまんないパターンというか、卑怯だな、と
思うのは「最初から好きで結婚したわけじゃない」「相手に非がある
(妻が家事をしない、夫が家庭を顧みない、先にすでに浮気してる)」
「男(女)を捨てて枯れてる」などの諸事情によって…不倫する主人公に

「不倫してもしょうがないよね。もう事実上、結婚生活終わってるし」
みたいなエクスキューズを最初から与えてあるパターン。
今回も、ヒロインの夫は働く妻をねたみ(自分は主要ラインからはずれて
いじけて鉄道模型にのめり込んでいた)、同居している姑との間柄も微妙。
不倫相手の男の方は、えらいさんの娘と結婚した政略結婚で、
そのあとはテキトーに遊び歩いている、ということで、今の結婚は
終わっちゃってる同士なわけです(少なくとも当人の中ではかなり冷めてる)。

そんなふたりが、ほかの相手と出会ってときめいても無理ないよね!

みたいな不倫恋愛話って、面白くない。

どちらかというと、夫が好きで家族サイコーって思ってるのに
なんかひっかかってくる男性がいてやばい、みたいな話のほうが
ドキドキするんじゃないかと思うのは私だけ?(なんだろうね。
だいたい不倫する既婚女性の配偶者ってしょーもない男として
描かれてることが多いから)。

というわけで、なんか「誰かいい人いないかなー」「ちょっと現実
つらいんだよね」って同士が出会って傷のなめ合いをしただけのような
結構チープな不倫(の割にいろいろ失うものは大きかったわけだが)劇
といった印象を正直持ちました。

ここからは完全余談。
この「雪白の月」というタイトルで、ドキドキしたあなたはディープな
KinKiファン(笑)。そういうタイトルの曲があるんです。
バラードで綺麗な曲(しばらくシングルで続いた一本調子ミディアム
バラードとは一線も二線も画してます)で、昨年のファン投票では
シングルCDのカップリングという地味な出自だったにもかかわらず
上位にバーンときた「ファンは相当好きな曲」なわけです。

実際に「雪白の月」で検索すると、堂本くんたちがいっぱい出てくる(笑)。
著者か編集者がKinKiのファンとかでこの曲を知っていたのかな??
そういえば、物語の最終章(それまではヒロインの視点だった話が
最後だけは不倫相手の男性視点になる)のモノローグの世界観と
歌詞がハンパにリンクしてるような気がしなくもなく・・・??
個人的に、あれを不倫ソングと解釈されるのはびみょーなんだが。
by tohko_h | 2008-11-18 12:03 | reading