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「おいしい水」「ありふれた魔法」盛田隆二

「おいしい水」 盛田隆二
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30歳の弥生は、印刷所勤務の夫と
愛娘の3人で団地で暮らす専業主婦。
週末には同じ団地の仲良し同士で
家族ぐるみの飲み会をしたり、子供を
預け合ったりと近所付き合いも順調。
ところが、ある日、皆になじもうとしない
千鶴という主婦が越してきて、団地の
人間関係と弥生の生活が少しずつ
狂いだしていく…夫の浮気疑惑、
近所の主婦の危うい開業、そして弥生を
誘惑してくるあやしい男…と、2時間ドラマ
のようなサービス満点の構成です。


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「ありふれた魔法」 盛田隆二
銀行員の男性と、部下の聡明な女性が、
少しずつ惹かれあっていくスローテンポな
職場系不倫小説。「おいしい水」のほうは
ある意味、主婦主役のダークファンタジー
っぽいんだけど、こっちは、完全に、
おじ様が気持ちよく読めるファンタジーと
いえましょう。しかし、最後まで綺麗事で
終わらず、ちゃんと不倫のツケを払う
ことになるあたりは、安易じゃなくてよかった。


この2編に共通しており、そして印象的だったのは、書かれたころの
はやりものや風俗、社会的事件などが描きこまれていること。
登場人物が好きなCDやアイドル歌手の名前や、
その時の大臣の名前、などが、本文や会話部分にあらわれる。
それは「ああ、ちょっと前にあった話なんだ」とリアリティを増して
いていいのかもしれないけど、こういう通俗的な男女関係を描く
小説にそういう固有名詞や時代性を取り入れるのは得策かどうか
ちょっと正直わかりません。

ただ、2時間ドラマ的な緊迫感がほどよくある小説なので、
通勤やお風呂のお供に頭を使わずにすらすらと読み進められて
とても、ヘンな言い方だけど、便利、でした。
by tohko_h | 2008-11-21 12:21 | reading