人気ブログランキング |

「情夫」藤堂志津子

a0079948_2213024.jpg
「情夫」
藤堂志津子
青春時代の過ちは美しい。
あるいは少し滑稽で愛らしい。
傷跡が深くても、すぐに
かさぶたは剥がれ、また
綺麗な皮膚で生きていける。
だけど、「おとな」になってからの
過ちや躓きは、そうはいかない。
そんな、危うい世代の、アラフォーの
その先の女たちを描いた短編集。


「情夫」
20歳から45歳まで、お互いに割り切った関係を続けてきた高校時代の
同窓生だった一対の男女。体の相性がいいから、という理由で、
お互いに恋人や配偶者とめぐり合い恋愛や結婚をしていても、
それはそれで逢瀬を重ねる、という気楽な付き合いを選んだふたりの歴史。

「おとうと」
飲み屋の隣の席に座っていた女に「弟を紹介したい。すごくモテるので
物書きのあなたに会わせたいの」と言われたライターの女性。しかし
現れたのは凡庸な青年で、どこが魅力的かよくわからず・・・ところが
彼には、ある瞬間フェロモンがいきなり立ち上り・・・

「ランチ・タイム」
小説家になった女性と専業主婦として子育てを中心に暮らしてきた同級生の
女ふたり。「平日の昼間って、会社勤めしてないからお互い良いんじゃないかしら」と
ランチ会を2ヶ月に1度共にするようになる。穏やかな2人の会話。しかしある日
ゲストとしてやってきた第3の女が空気を壊す?

「男遊び」
いきつけのヘアサロンのシャンプー係の青年を食事に誘ったおとなのヒロイン。
彼の似合っていないストールなどにいらだちながら、退屈なデートに
後悔の気持ちでいっぱい。早く切り上げようと思う。ところが、意外な
展開になって・・・

「エスコート」
お金には困らない投資などで資産を手にした一人暮らしの女性。身の回りの
世話を頼むために高額な自給でひとりの男を雇い、買い物や食事の相手を
頼むが、彼のほうからもとんでもない頼みごとが・・・?

大人になっても、人を見る目が十分養われているはずでも、つまらない男に
ひっかかったり、女同士のうんざりするやり取りから逃れられなかったりする
主人公たち。彼女たちは、ひとりで自由に生きたいと思う気持ちと同時に
ほんとうのひとりはいやだ、という気持ちがあり、つまらぬ人間関係と
わかっていても、なんとなく続けていってしまうのかも、と思った(あ、
表題作「情夫」の男女関係はそれともまたちょっと違うけど)。
by tohko_h | 2009-02-25 02:37 | reading