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「さえずる舌」 

「さえずる舌」明野 照葉
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産業カウンセラーの真幌(まほろ)は、
仕事のパートナーとして心強い
年上の夫と、ビジネスの成功を手に
した、忙しくも幸福な37歳。そこに
スタッフとして加わった島丘芽衣は、
美貌と才能にあふれた女性で、
真幌のビジネスにも大いに利益を
もたらしてくれた。ところが、今までの
スタッフの精神状態が不安定に
なり、仕事場の雰囲気がなんだか
おかしくなってくる・・・


某国のあれこれを言うときに「息をするように嘘をつく」という慣用句っぽい
言い回しがよくつかわれるが、それは、この小説に登場する女性・芽衣にも
当てはまる。やわらかなほほえみを浮かべ、穏やかなトーンで人を引き付ける
ような話し方をする魅力的な女性だが、その魅力を凶器として、邪魔だと思った
人にさして理由もなく振りかざし、陥れていく恐ろしい女性である。その
恐ろしさの正体がわからずに、真幌や周囲が不安を覚えるようになるまでの
前半はとてもスリリング。ただ、芽衣側のことが詳しく描きこまれくる後半部は
割と普通に着地したかなーという印象。
芽衣のように、つかなくていい嘘までついて、しかもそれがほころばないという
怖ろしい才能をもった人ってリアルにもたまにいる。そういう人になんとなく邪魔って
思われて陥れられると、場合によっては本当に再起不能(職場での地位とか
友人間のポジションを挽回できず輪から外れてドロップアウトとか・・・)まで
ありえる。そういう意味で、化け物も幽霊も残酷シーンもなかったけれど、
これはホラー小説だ、と思った。
by tohko_h | 2009-03-12 12:22 | reading