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「ガールフレンズ」 武谷 牧子

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「ガールフレンズ」 武谷牧子
たまたま手元に回ってきたので
読んだけどなんてタイムリー!
大学に入った18歳から18年後…
36歳になった女性たち(大学の
クラスで仲良くなった)が、それぞれ
恋や仕事に悩みながらも自分の
力できちんと前に進んでいく
とても健全な成長小説(30代の
女性にも青春時代とは違う
成長ってのがあるんですよこれが)。



某大学の英文科の入学ガイダンスでたまたま近くの席に座った5人組。
1章目から5章目からは、そのひとりひとりの36歳の風景がスピーディーに
描かれる。
アメリカの企業で働くキャリアウーマンの有子は、日本からやってきた
8歳下の後輩男子社員をもてあまし。

シナリオの大会で賞をとった樹里は、社宅の奥様関係などがうまく
いかずに悩み、不倫をテーマに描いたのは自分が不倫したから?と
影口を叩かれる。

大学卒業後すぐに12歳年上の教授と結婚したクラスいちの美人恵美子は、
中学生の母親でもあったが、せつない夏の出会いに胸を痛める。

そして大学の教壇に立つ光は、父と暮らした家の相続税が払えず、
生まれ育った家を奇妙なIT長者らしき青年に売却することとなる。

通訳としてフリーで活躍中の佐和は、年下の男と付き合いだすが、
だんだん相手が金銭や物質面で甘えてくるのが負担になってきていた。


…それぞれの決断や喜怒哀楽を味わった後、あるイベントのために
皆が久しぶりに集まることになり、最後にはこんな風に物語はしめくくられる。

「若い頃を共有した、友人のその後の生き方は、自分の生き方を
改めて客観視させてくれる力があると、樹里は思う。これからはお互い、
苦いことも言いあうかもしれない。いずれ、五人は、互いが描く
人生の形を、静止している断面としてではなく、連続しているプロセス
として捉え合う、最高の同時代人だ。まだまだ未完、白いページが
いくらも続くことが信じられる。

そんな風に長い目で、自分を受け止めてくれる存在がなければ、
人生の味わいは随分減るだろう」

私自身、大学時代の前半は5人グループで行動していたので
もしかしたらこんな風だったかもしれない(ただし私がいろいろ
がまんすれば・・・ってそのへんはお互い様だったかもしれません)、と
思いながら読みました。

しかしずいぶん女同士の付き合いにしても仕事ぶりにしても
どの女性もスマートだなあと思ったら、著者の出身大学は
慶應でした・・・なるほど!(早稲田やそのへんだとこうはいくまい)。
by tohko_h | 2009-08-21 17:09 | reading