映画「風が強く吹いている」

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映画「風が強く吹いている」を見てきました。
三浦しをんの小説の中で一番好きな作品だし、箱根駅伝が
テーマなので、ビジュアル的に見られるのは楽しいだろう、と
思ってました。実際、ヤングジャンプでやってるマンガも面白いし。
(舞台にもなったようです)

が、しかし。
駅伝の小説とはいえ、駅伝で走るシーンは、それぞれの内面の
描写が綴られていて、ある意味、映像化しようがないというか(たとえば
留学生のムサが、ふるさとを静かに思ったり、司法試験合格済みの
ユキ先輩が、家族へ思いを馳せたり、走っている時の「想い」が
ある意味主役みたいなシーンでもあるから)、どうするんだろうなーと
思ったりして、どんな映画になるんだろう、と楽しみ半分、不安半分でした。

で、見に行ったんだけど…私の場合、原作が好きすぎて、アオタケ荘に
ばらばらのメンバーがそろって、酒盛りしてるだけで泣けてきて既に
やばかった。みんながほんとにいたんだ!みたいななんとも言えない気持ち。

原作のすべてを描ききれてはいなかったけど(シーンとかセリフとか
設定とかその他もろもろの省略は時間的に、物理的に仕方ないこと)
原作が伝えたかったことはきちんと伝わってきたし、原作より好きな
感じになってた場面も一部あったりもしました。やはり、大規模ロケを
敢行した予選会&箱根駅伝のシーンは、ぞくぞくしました。

主要人物が10人いて全員に見せ場があってそれぞれを好きになってしまうような
凄い小説なんだけど、そのすごさはきちんと映画にも引き継がれてたし。

更に、映画ならではの楽しい見せ方(クイズが好きな変わり者のキングは、
アメリカ横断ウルトラクイズのピンポーンっていう帽子をかぶってたり、
その帽子は理工学部にいるニコちゃんが作ってあげた設定になってたり。
そして、マンガオタクの王子の部屋が完全に再現されていてすごかったり!)も
生きていて、あっというまの2時間ちょっとでした。

正直、のだめなんかよりこれを前後編にしてもらって、もっとじっくり
見てたかった気分。

そののだめにも出てる小出君が主役だったんだけど・・・何この人!
今まで、私の好きな作品に出てたり印象に残ったりあまりしてなくて
申し訳ないことに「サエコに振られた人(ダルビッシュに負けた人)」
「慶応卒の割に素朴な人」くらいしか印象無かったんだけど…
最終走者として彼が駅伝シーンで見せる表情のすばらしさに、号泣でした。
いい役者さんなんですね!

ソフトバンクの「お兄ちゃん」ことダンテさんが演じたムサ君(優秀な
留学生。黒人が皆脚が早いわけじゃないのに、と戸惑いつつも、
一生懸命皆と走ることを大切にする素敵な人、原作読んだときから
お気に入りキャラです)も原作のイメージそのままでよかった。
役に立たない監督を津川さんが演じ、チョイ役で鈴木京香さんなどが
出てたりするのも楽しかったな。

あとでパンフレット読んだら、役者さんたち皆、長距離の走り方や
筋肉になるようにかなり厳しく走りこまされたみたいで、それが
リアリティになったのかな、と思ったり。

そして日本テレビが強力してるので、中継シーンの臨場感も凄いし。
コミカルさと真摯さの絶妙なバランスは原作通りなのも安心。
…映画館で皆が同時にどっと笑ったり、すすり泣きが聞こえてきたり、
という楽しみ方も久しぶりにした気がします。
隣の席で見ていた可愛い女の子が映画の最初から最後まで両手を
お祈りの形にしてぎゅっとしてたのも印象的。

結構中高年の人からセーラー服の女の子たちまで、おそらく、箱根ファンや
原作ファンから、若手役者さんのファンまでってことなんだろうけど、
色々なお客さんで席も結構埋まっていて、皆が終わったあとにロビーで
あれこれしゃべっていたのも印象的。そう、誰かと話がしたくなるような
映画でもありました。

というわけで、ひとりで見た私は、誰かに話す代わりにここで書いてみたわけです。


原作と映画、両方を行ったり来たりしていつまでも楽しみ続けて
いきたい名作です。
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by tohko_h | 2009-11-12 12:44 | watching