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「夜想」貫井徳郎

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「夜想」 貫井徳郎
32歳の雪籐は、妻と子を同時に
自動車事故で失い、自分だけ
生き残った悲しみの中で、
無気力に生きていた。しかし
ある日、天美遥(あまみはるか)
という少女が自分のために
涙を流して悲しみに気づいて
くれたことから、新たな人生を
生きなおす決心をすることに…


遥は、ものに残った人の思念を、触れることで知ることができる。
それを利用して、困った人の相談事に乗ったり、ささやかな力添えを
していた。しかし、その才能はしだいに評判となり、彼女に会いたい、
助けて欲しいと願う人たちが集まってくる。雪籐は、遥を守り、
彼女を慕う人たちを束ねて、グループとして活動していくことに
のめりこんでいく…

自分ではどうしようもないことって、誰の人生でも1度は起こるんじゃ
ないだろうか。選びたくても選べないこと、パスしたくても自分に
回ってきた貧乏くじのような運命。そして逆に、宝物と思っていた
人やものを失うことだってあるだろう。そんなとき、心のよりどころを
自分の外側に求めたくなる人は少なくないだろう。

その結果、宗教や超能力的なものを選ぶ人だって。
そして、選んだものがいんちきだったりサギだったりして、
人生が台無しになる人もいる。

遥自身も、皆に祭り上げられていくことに戸惑いを覚えつつも、
「みんなの役に立ちたい」という気持ちから頑張って人前に立ち、
多くの人たちの信頼に応えようとする。その無理してる感じが
痛々しい…

てっきり、人の悪意とかちょっとした無神経さを怖く描くのがうまい
貫井さんなので、途中で、集団が狂気めいてきたり、中に裏切り者が
登場したり、と、すごくダークなお話になるのかな、と、半分期待(?)、
半分カクゴして読んでいたのだけど、最後まで、「人は何を信じれば
いいのか」という直球なテーマからぶれることはなく、とても誠実な
小説だったと思う。
ただ、人が壊れてくパターンとか展開は単調でした・・・
by tohko_h | 2009-12-06 00:03 | reading