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2006年 09月 28日 ( 1 )

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「中原の虹」① 浅田次郎
「蒼穹の昴」に魅せられた人必読の、あの物語の
続きがついに・・・

「小説現代」で連載されているらしい、とは一応
知ってたのですが、そのころにはもう話もかなり
進んでいて・・・っていうか、2004年春に連載が
開始された頃は「蒼穹の昴」さえ読んでなかった私。
というわけで、雑誌で追うのは最初からあきらめ、
発売をどんなに待っていたことか。
でも、いざ発売となると、1巻目が今月、2巻目が11月、
作品そのものの完結は来年中・・・って聞いて、少し悩みました。
あの「読み始めたら家事仕事一切放棄してそれしかできなくなる」
恐ろしい引力を持つ浅田、というか蒼穹ワールドですから。
途中で「つづく」ってのは、つらいかなーと思いまして。

だけど、書店にどーんと平積みされてるのを見たらやっぱり買っちゃいました。
そして一気に読みました。
ラストのほうはすでにウルウルです(途中なのに)。
電車の中で読んだのはちと失敗。

春児、文秀、占いばあさんの白太太、そして困ったちゃんだけど賢くて
どこかかわいくさえ思える西太后、なつかしの名前が出てくるたびに
「○○キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!」と心が勝手に小躍り状態。
最初は、久々の字とか年功序列の敬称がつく中国独特の名前の呼び方とか
若干苦戦しましたが(親切な登場人物一覧のしおりはついてます)
気がつくとそこは満州。馬賊のひづめの音が目を閉じると聞こえてくるよう・・・

そう、懐かしい人たちも出てきますが、今回の主人公は、張作霖。
日本史の教科書だと、満州事変のちょっと前に名前が出てきたくらいで
あんまり印象が無いけれど、この小説の中で、張は、天下をとる野心を
胸に抱いた馬賊のカリスマ的な頭目として颯爽と登場!

若き日の張に、白太太(「蒼穹の昴」で、主人公・李春児の将来を予言した
老婆)が告げる。

張作霖、汝、貧しき流民の子よ。
汝、満州の王者たれ。 汝、東北の覇王たれかし。
見よや、張作霖。顧みてわが指先を辿れ。いつしか垂れこめる
雲が割れ、耀よう蒼穹に七色の虹がかかっておるではないか。
天が、汝の明日を寿いでおるのじゃ。
奔れ、張作霖。
遥かなる中原の虹をめざして。


その、張作霖に命を買われた馬賊・李春雷・・・
彼は、生き延びるために家族を捨てていた男。

張作霖は、春雷を伴い、それを持つ者は天下をとると言い伝えられる
龍玉を求めて旅立った。
覇王の印・龍玉。その玉を、未来を憂い、乾隆帝が満洲のある場所に
隠してから清朝は衰亡に向かって走り出した、といわれている伝説の玉。
実際に、そのころの清は、西太后が権力をほしいままにし続けており
庶民は貧困と飢えにあえぎ続けているありさまだった。
栄華を誇った王国に落日の気配が。

美しく大きなその玉は、ふさわしくない人物が手にしたとたんに、
その人間が滅びてしまう、という恐ろしい力を秘めているという。
しかし、張作霖は少しもそれを恐ろしいとは思わなかった・・・

というわけで、張作霖を中心に、物語は劇的に展開して行きます。
張作霖は、満州の英雄となるのでしょうか。
相変わらずのドラマティックな展開。平易で美しい文章。
読み終わった今、続きが気になるのは間違いないですが、やっぱり
面白いし、読書の秋だし、こうなったら蒼穹の昴からもう1度
読むのもいいかも、と思ってしまうほど濃くて幸せな時間を過ごしました。

この前、三浦しをんの「風が強く吹いている」が今年の自分的
ブックオブザイヤー!
と騒いだばかりだけど・・・また
騒がずにはいられない傑作!

以前書いた「蒼穹の昴」の感想。
by tohko_h | 2006-09-28 19:04 | reading