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2007年 01月 07日 ( 1 )

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「伊勢丹セラピー」
小林光恵
新講社
デパート遊びがやる気、元気の素!
財布を持って地下鉄に乗って
普段着のまま新宿三丁目へ。
そこから向かう伊勢丹で
元気をもらったり活力が
沸いてくる、それが伊勢丹セラピー。



伊勢丹で買い物をする人たちからは、自分の暮らしをちょっとこだわって
自分らしく演出しよう、暮らしにめりはりを持たせようという気概や覚悟、ふんばり、
欲を満たすために明日からもがんばるというしぶとさのような独特の光線を
発している気がするのです。それを浴びると、私も活力がわいてきます。(本文より)


看護師の経験を生かした「おたんこナース」のヒットで一躍有名エッセイストに。
病院、医療ネタから、最近はダイエットなどの身近なフィールドの本も書かれている
小林光恵さんのエッセイ&プチ4コママンガで構成された1冊。
都営新宿線の割と便利なところに住んでちょくちょく伊勢丹でお散歩も
されているような作者は、確かに通いなれているようで、建物の中の人の流れとか
店員さんのキビキビした感じとか季節とディスプレイのタイミングとか、
「伊勢丹概論」についてはソツなく語れていて、「伊勢丹入門」としては読みやすいし、
ホルモンとか女性の体のサイクルと物欲の関係を分析して「時期的に危険日」みたいな
書き方も面白かった。でも、タイトルが「伊勢丹セラピー」となっているわけだから
いかに著者が伊勢丹で心を癒されたりときめいてたりしてるのか、みたいな
個人的な体験を一人称でズバズバ書いちゃったほうが面白かったと思います。
人間観察のすごい達人、みたいなタイプの書き手さんなら、店内で出会った
老夫婦とか店員さんの描写でも読ませるんだろうけど、そういうタイプの人でも
ないしなー、うーん。難しいところです。なぜ伊勢丹なのか、みたいなことが
伝わってこなかったのが物足りませんでした。

万が一、私の伊勢丹好きが嵩じて本を書く、なんて機会があったとしたら(絶対に
ありえないけど(笑))タイトルは「伊勢丹メモリー」として、地方から出てきた
18歳の女の子がはじめて伊勢丹に買い物に行った日から東京生活が始まり、
やがて恋人のために初めてメンズ館に足を踏み入れ、更に就職活動のために
写真館で修正写真を撮り、はじめてのボーナスで高いアクセサリーを買い、
仕事がつらくてカードで衝動買いをする、という経験をして、そして結婚相手と
指環を買いに来たときに、それらの思い出が走馬灯のように、みたいな小説に
しちゃいます(笑)。伊勢丹マニアの三浦しをんさんあたりが書いたら面白いかも。
しかししおんさんは都会育ちなんですよねー。上京組から見た伊勢丹ってまた
違うと思うんです。実際、札幌育ちの私は名前を聞いたことがあっても行ったのは
上京してきてだいぶ経ってからだったし、駅から離れててそう大きくないここに
(当時、池袋東武百貨店がリニューアルして「東洋一の売り場面積!」とハデに
宣伝してたこともあってそれと比べればこぢんまりとしてるなって思ってました)
なぜこんなにたくさんの人が来てるのか、ピンとこなかったんです。
東京出身で家族で日曜日に伊勢丹にみんなでお出かけしてた、みたいな人の話とは
少し違う、地方出身者から見た、東京ローカルの伊勢丹、という存在感。
しかし私が書くと、「伊勢丹メモリー」というより「伊勢丹エレジー」となってしまう予感。
なんとなく。
by tohko_h | 2007-01-07 02:24 | reading